台風19号 被災者救助、支援に全力を

10月14日 07:04

 自然の猛威をまたしても見せつけられた。首都圏を直撃した台風19号は、東日本各地で河川の氾濫や決壊、土砂災害による被害を引き起こした。死者・安否不明者は2桁に上り、昨年7月の西日本豪雨に匹敵する未曽有の災害となった。

 被災地では、水道や電気などのライフラインや交通インフラが途絶する中、懸命の救助、捜索活動が続いている。大勢の住民が避難しており、避難所生活は長期に及ぶことが予想される。国や自治体は、不明者の捜索や河川、道路などの復旧に全力を挙げるとともに、被災者の支援やケアにも万全を期してもらいたい。

 台風19号は6日、南鳥島近海で発生。12日午後7時前に伊豆半島に上陸し関東を縦断して13日に東北沖に抜けた。台風が大型で強い勢力を保ったほか、台風の上陸前に、本体とは別の雨雲がかかり長時間にわたり断続的に強い雨を降らせたことも被害を拡大させた。

 対策促す異例会見

 気象庁は台風が上陸する3日前の9日に異例の会見を開き、「自分や大切な人の命を守るため、早めの対策を」と呼び掛けた。また数十年に1度の重大な災害が起こる恐れがあると判断した際に出される「大雨特別警報」を首都・東京をはじめ関東、東海、信越、東北の13都県に断続的に発令し、早めの対策や避難を強く促した。

 9月に首都圏を襲った台風15号被害が想定を大きく上回り、政府や自治体、電力会社の対応が後手に回った教訓を踏まえたのだろう。関係機関は早くから臨戦態勢を敷き、次々と入ってくる河川氾濫や土砂崩れなどの情報の対応に当たった。

 それでも、千曲川や阿武隈川といった河川が決壊するなどして甚大な被害が発生し、大勢の犠牲者が出た。国や自治体は、各地の治水、土砂災害対策を早急に再点検するとともに、ダムの緊急放流が適切だったか、警報や行政の指示が住民に正確に伝わり迅速な避難につながったか、などをしっかり検証すべきだ。

 「災害列島」を実感

 台風19号は「災害列島・日本」を改めて実感させた。台風以外にも地震や梅雨期の集中豪雨、豪雪、火山噴火など県境を超える自然災害が増えている。そうしたリスクに迅速、継続的に対応するには、過去の教訓や知見を蓄積、予算と人材を集中させて災害対策を一元的に担う組織が必要だろう。

 米国には災害即応から生活再建、復旧・復興まで一元的に対応する「連邦緊急事態管理局」(FEMA)がある。全国知事会もFEMAを参考に「防災省」の創設を提言している。安倍政権は、「大切なのは国と自治体が災害発生時、適切な役割分担の下で早期復興に取り組む態勢を整えることだ」として創設に冷ややかだ。

 今回の台風19号被害を見ればその限界は明らかだろう。南海トラフ巨大地震や首都直下地震への備えも必要だ。政府は、防災省の創設を真剣に検討してもらいたい。

 温暖化対策関与を

 温暖化対策も避けては通れまい。先に開かれた「気候行動サミット」では、77カ国の首脳らが2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする長期目標を表明。来年始動する温暖化対策の国際ルール・パリ協定の下で対策を強化する方向性を明確にした。

 日本はこれに加わらず後ろ向きの姿勢が際立った。頻発する豪雨や相次ぐ大型台風の発生、殺人的とも言われる猛暑は、地球温暖化の影響を抜きには語れまい。日本は対策に積極的に関与すべきだ。

 豪雨被害が深刻化する背景には、過疎化による担い手不足で荒廃が進む森林の保水力低下も指摘される。政府は、温暖化対策にもつながる森林の健全化にも一層力を入れる必要がある。