泉佐野市の除外継続 地方分権後退させるのか

10月12日 09:23

 ふるさと納税を巡る総務省と大阪府泉佐野市の対立は、司法の場に持ち込まれる見通しとなった。

 返礼品を制限した6月の法改正前の過剰な寄付集めを理由に、総務省は泉佐野市をふるさと納税の指定自治体から外した。第三者機関である国地方係争処理委員会は違法の恐れがあるとして再考するよう勧告したが、同省は除外の継続を決定。千代松大耕市長は大阪高裁へ提訴する構えだ。

 ふるさと納税を巡っては、寄付集めで自治体の返礼品競争が過熱。総務省は2017年から18年にかけて「調達費は寄付額の30%以下」「返礼品は地場産」とするよう求めた。しかし法的拘束力のない通知としたことから従わない自治体が続出。このため、同省はこれらを法定基準とし、国が参加自治体を指定する制度に改めた。

 この間、泉佐野市は国の再三の中止要請に応じず、ネット通販のギフト券を贈るなどして18年度は全国の寄付総額の約1割に当たる497億円を集めた。

 19年度も新制度開始間際まで続けたため、同省は過去にさかのぼり同市などに新制度を適用して除外。市はこれを不当として係争委に審査を申し出た。

 総務省の除外決定について、係争委は新制度を定めた改正地方税法に反する恐れがあると指摘。参加の可否を再検討するよう勧告し、同省の事実上の敗訴となった。

 しかし、同省が再検討して出した結論は「除外決定は適法」「(勧告の)内容の全てに従う必要はない」とする全面的な反論だった。泉佐野市の参加を認めれば他の自治体との公平感を欠き、新制度の維持が危ぶまれると判断したのだろうが、除外継続の根拠としては理解しづらい。

 係争委は、国と地方の関係を上下・主従から対等・協力に変えた地方分権一括法の施行に伴い2000年に設立された。元高裁長官らをメンバーに、自治体に対する国の行き過ぎた関与をいさめる機関である。

 勧告を無視するような総務省の姿勢は係争委を形骸化させる恐れがある。自治体への国の関与を最低限に抑える地方自治法の趣旨にも反し、地方分権を後退させかねない。

 確かに、泉佐野市のやり方にも目に余るものがあった。係争委も「制度の存続が危ぶまれる状況を招いた」と厳しく批判している。ふるさと納税は本来、都市と地方の税収偏在の是正を目的としている。被災地支援での活用や自治体のファンを増やして交流につなげている好例もある。同市は制度の原点に立ち返り、批判にも謙虚に耳を傾けてもらいたい。

 ふるさと納税は、税金の奪い合いをあおるような仕組みで、総務省もこれほどまでの過熱ぶりは予想していなかったのではないか。見通しが甘く対策が後手に回った感は否めない。制度設計の不備を省みることもなく、泉佐野市を「見せしめ」にしても問題解決にはなるまい。本来の趣旨が生かされるよう制度を見直すべきだ。