仮設住宅の集約 継続支援で孤立の防止を

9月18日 08:04

 仮設住宅から災害公営住宅(復興住宅)への転居や自宅再建などに伴い、市町村による建設型の仮設住宅団地(仮設団地)の集約に向けた動きが本格化してきた。

 大津町では町内にあった6団地を4団地に集約し終え、西原村は小森仮設団地内の5棟を1棟に集約。入居戸数が県内最多の益城町も、来年6月から町内17カ所の仮設団地を木山仮設団地の1カ所に集約する方針を明らかにした。他の市町村でも検討が進められており、今後ますます加速するとみられる。

 熊本地震に伴う仮設団地は16市町村で110団地4303戸が整備されたが、8月末時点の入居は1225戸。空室が7割近くに上り、1人暮らしの高齢者や高齢者のみの世帯の割合も増え続けている。防犯や孤立防止のためにも集約は避けられまい。

 ただ、3年以上も仮設暮らしを続けてきた被災者にとって、再び慣れない土地に移り、住環境が大きく変わることの負担感は少なくない。高齢者にとってはなおさらだろう。住民の声を丁寧に聞き、被災者の視点に立って集約を進めることが必要だ。

 転居を求められる被災者は、現在の仮設団地で育んだコミュニティーが白紙に戻り、再び新たな人間関係を築かなければならない。元の住まいや職場や田畑、学校が遠くなる人もいるだろう。一日も早く新居の生活に慣れてもらい、孤立を防ぐためにも、新住民を交えたコミュニティー形成に向けた支援が求められる。

 仮設住宅から復興住宅に引っ越す被災者についても、継続したフォローが必要だ。東日本大震災の被災地で健康調査を続ける東北大研究グループの調査では、仮設団地に住み続けるより、復興住宅に転居した被災者の方が孤立を感じ、健康状態が悪くなる傾向があるという研究結果も出ている。

 研究グループは「被災した自宅から仮設、復興住宅へと住まいや生活環境が変わる段階でのフォローが肝心だ」として、熊本地震の被災地にも警鐘を鳴らしている。

 県道熊本高森線・俵山ルートが全線開通したほか、国道57号の現道部分も2020年度に再開される見通しとなった。熊本市中心部では熊本城の復旧工事も進み、桜町の再開発ビルの開業など明るいニュースが相次ぎ、震災前のにぎやかさを取り戻しつつある。

 そうした進む復興の陰で、今も8千人余りが仮住まいを余儀なくされていることを忘れてはなるまい。県によると、区画整理などの公共工事や復興住宅の入居待ちなどの理由で、約1700世帯が来年3月までの退去が困難とされ、希望通りの自宅再建の見通しが立っていない世帯も7月末時点で89に上る。

 先が見通せない被災者には取り残され感が強まり、二重に精神的負担を感じる時期である。一人一人を最後まで孤立させず、生活再建につなげることこそ、県が掲げる「創造的復興」の最も大事な柱であることを改めて確認したい。