待機児童 無償化後の増加に対応を

9月8日 08:35

 厚生労働省は6日、希望しても認可保育所などに入れない待機児童の数が、今年4月1日時点で昨年より3123人少ない1万6772人だったと発表した。待機児童の定義が変遷しているため単純比較はできないが、調査を始めた1994年以降で最少となった。

 政府目標の「2020年度末までに待機児童ゼロ」に一歩近づいた形と言える。しかし、幼児教育・保育の無償化が始まる10月以降は、保育のニーズがこれまで以上に高まることも予想される。目標を達成するには、受け皿を増やすとともに、子育てしながら働く保護者の個別のニーズに寄り添い、地域の実情も踏まえた対策を講じる必要がある。

 昨年は待機児童が500人を超える自治体が二つあったが、今回はなくなった。一方で、首都圏や近畿圏、政令市や中核市など都市部に集中する傾向は変わっておらず、全体の約6割を占める。

 保育の受け皿は11万2千人分増えており、国と自治体の取り組みは一定の成果を上げていると言えそうだ。だが、「特定の施設だけを希望している」「求職活動を休止している」などの理由で集計から除外された「潜在的な待機児童」は昨年より約6千人増え、7万3927人となった。

 さらに、都市部では認可保育所に入れるだけで幸運な状態で、自由に施設を選べる状況には程遠い。送迎に時間がかかる保育所にしか入れなかった場合は短時間勤務にするなど、女性らの就業を制限しているケースもある。

 熊本県内の待機児童数は178人で、前年同期に比べ4人減少した。待機児童が発生しているのは10市町村で、このうち合志、嘉島、菊陽、玉名、益城の5市町では20人を超えている。また熊本市では、認可保育所などへの入所内定率が、0~2歳児で74%、3~5歳児で61%にとどまっていた。2歳までしか施設に入れず、その先の預け先に困る「3歳の壁」の解消も課題となる。

 政府は18~20年度の3年間で32万人分の受け皿を整備する方針だ。ただ、設置計画には企業が従業員向けに開設する「企業主導型保育所」の約6万人分も含まれる。企業型を巡っては国の助成金詐取など問題が相次いだため本年度は募集が始まっておらず、計画通りに整備が進むかどうかは見通せないのが実情だ。

 厚労省が公表した新たな支援策によれば、今後は、自治体の状況を(1)保育所利用の申し込みが見込みを上回って増加(2)申込者数は変わらないが解消が進まない(3)待機児童の減少が進んでいる-の三つに分類し、それぞれに合った対策を個別集中的に講じるという。

 受け皿を増やして待機児童ゼロの目標を達成するだけでは、問題の解決にならない。保育士の増員や保育の質向上、施設の安全性確保なども一体的に進め、子どもを安心して預けられる体制を構築してもらいたい。男性が育休を取得しやすい環境づくりなども積極的に進めるべきだ。