仮設入居者減少 生活再建へさらに支援を

8月16日 08:54

 熊本地震で仮設住宅などで仮住まいを続ける被災者が、7月末で8968人(3926世帯)と、2016年4月の震災から約3年4カ月で初めて1万人を切った。ピーク時の4万7800人(2万255世帯)から8割以上の減少。一方で、依然として住まい再建のめどが立たない人もおり、さらなる支援が求められる。

 入居先は、プレハブなどの建設型仮設が3076人(1332世帯)、借り上げ型のみなし仮設は5754人(2538世帯)。ピーク時には、それぞれ1万1027人、3万4473人いた。このほか、公営住宅などに138人(56世帯)が身を寄せている。

 最大26市町村に及んだ仮設住宅の開設も18市町村に縮小。熊本市が4127人と最も多く、益城町2480人、御船町395人、宇城市349人と続いた。

 ただ、こうした仮設入居者の減少は手放しで喜べるものではなさそうだ。原則2年の入居期限は最長4年に延長されたが、今年4月以降は「賃貸住宅を探している」などの理由は認められなくなった。それが退去を加速させている側面もあるのではないか。熊本学園大の高林秀明教授(地域福祉論)は「退去期限に合わせて仕方なく出た人も少なくない。被災者のペースで退去できているかは疑問だ」と指摘する。

 退去加速の一方、災害公営住宅(復興住宅)の入居待ちや区画整理事業の影響などで、約1700世帯が19年度中に新たな住まいが確保できないと見込まれている。

 12市町村で計1715戸の整備が計画されている復興住宅は、8月9日時点での完成は11市町村の585戸と3分の1にとどまる。残りは来年3月末までに完成予定というが、一部の引き渡しは4月以降にずれ込む見通しだ。

 自宅再建の思いが強くても、収入や年齢、ローン、相続の問題など、さまざまな悩みを抱える被災者も多い。復興住宅に入る場合でも、持ち家の時はなかった家賃の負担がのしかかる。不安を取り除く対策が不可欠だろう。県と市町村が協力し、被災者の医療費免除の復活や、低所得層への家賃補助なども検討すべきではないか。

 蒲島郁夫知事は仮設入居者の支援を「最重要」として、「一人一人の実情や思いをくみ取りながら、被災者全員の一日も早い住まいの再建を実現する」と強調した。その言葉通り、たゆまぬ支援を続けてもらいたい。

 もう一つ忘れてならないのは、住宅を確保すれば「支援完了」ではないという点だ。阪神大震災や東日本大震災では仮設退去後に孤独死が増えた。県内のみなし仮設入居者の約4割、退去者の4人に1人が、地震後に生活と健康状態のいずれかの「悪化」を感じているとの調査結果もある。

 今後は、新たなコミュニティー形成のための支援がさらに重要となろう。行政には、地域の民生委員やボランティアらと課題を抱える退去者を、しっかりとつなぐ役割も果たしてほしい。