東京五輪まで1年 計画さらに磨いてほしい

7月25日 08:37

 東京五輪の開幕まであと1年を切った。国と東京都、大会組織委員会による開催準備はほぼ順調に進む。五輪史上、東京ほど多くの人が暮らし、活発な経済活動が営まれている地域の中心で開催されたことはない。柔軟さを備えながら、さらに計画を磨いてほしい。

 東京大会は、会場が分散しバスなどの運行ルートも多岐にわたる。輸送が成功の生命線となる。

 組織委などでは、企業に時差出勤などを働き掛ける対策を基本に、自宅で働く「テレワーク」や、首都高の交通規制と料金を時間帯で変える「ロードプライシング」といった独自の交通混雑軽減対策を練る。いずれにしても一般市民に負担を強いることになる。市民への周知徹底を図りながら、周到に準備を進めてもらいたい。

 猛暑対策も課題となる。マラソンのスタートを早朝にし、ミストシャワー設置や保冷剤の配布などさまざまな対策が検討されているが、人命に直結する課題である。テロ対策を含め事前のシミュレーションや演習を繰り返し、万全の方策を講じておく必要がある。

 総額6800億円もの整備費(仮設を含む)を見込む競技会場の大会後の利用も気になる。臨海部に新設される体操会場は大会後、展示場に模様替えする計画だが、10年ほど利用した後の構想はまだ白紙だという。競泳会場も五輪後は年間100の大会開催と100万人の来場を目指すとしているが、目標が高すぎはしないか。

 最寄りの駅から約6キロ離れたボートとカヌー会場は、バス路線すら整備されておらず、後利用計画は絵に描いた餅になりかねない。いずれの施設も多額の血税が投入されていることを肝に銘じ、利用計画を精査してもらいたい。

 全国知事会議は24日、五輪が地域経済を活性化させるチャンスになるとし、観戦目的の訪日客らを地方に誘導し経済効果を全国に波及させるよう求める提言をまとめた。大会の期間中や前後に鉄道、飛行機といった交通機関を低料金で利用できる施策の実施などを国に求めている。

 東京五輪は東日本大震災からの「復興五輪」と位置付け、安倍政権の主導で誘致した経緯がある。その原点を忘れてはなるまい。政府には、被災地を含めた地方が五輪の恩恵を享受し、こぞって応援できるよう知事会の要望に配慮した支援策を検討してもらいたい。

 新国立競技場の設計や大会エンブレムが白紙撤回される問題もあったが、これを教訓に一般公募を原則にした大会マスコットやボランティア愛称の選考によって、国民の期待が広がったのはけがの功名と言えよう。申し込みが殺到した観戦チケットの1次販売に見られるように大会への関心は高い。

 日本オリンピック委員会は東京五輪で史上最多30個の金メダル獲得を目標に掲げる。山下泰裕会長=山都町出身=が言うように、選手たちには「地の利を存分に生かしてほしい」。そして、何より「平和の祭典」にふさわしい五輪となるよう力を合わせたい。