きょう投開票 政権総括し未来へ1票を

7月21日 07:36

 令和初の国政選挙となる参院選はきょう投開票される。2017年衆院選後の「中間評価」となる今回の選挙で問われるのは、約6年半に及ぶ安倍晋三首相の政権運営に対する総括である。

 「安倍1強」と呼ばれる政権に引き続き安定した基盤を与えるのか、政権運営と政策の転換を求めるのか。もう一度候補者の訴え、政党の公約に目を凝らし、日本の未来へ貴重な1票を投じたい。

 選挙戦で各党は年金制度や消費税増税、憲法改正、地方の活性化、原発政策、貿易と安全保障が絡む日米関係などを争点に論戦を展開した。

 特に、有権者の関心が高かったのが、「老後資金2千万円」の金融審議会報告書で急浮上した年金問題だろう。自民、公明両党は低所得高齢者への給付金支給を掲げ、安倍首相は「強い経済をつくれば年金額を確保し、増やせる」と強調した。

 しかし、経済情勢の先行きが見通せない中、政府与党は、年金財政の健全性をチェックする「財政検証」の公表を参院選後に先送りした。論議を深める材料を奪った形で責任ある態度とは言い難い。

 これに対して野党側は制度改革を主張。医療・介護などの自己負担額に上限を設ける「総合合算制度」の導入や、「積み立て方式」への移行などを提案したが、財源の手当ては不明確だ。

 消費税を巡って与党は10月からの税率引き上げとともに、消費の落ち込みを防ぐ増税対策に理解を求めた。一方の野党は「国民の生活は豊かになっていない」としてそろって増税に反対した。年金とともに暮らしに直結する論点だけに、しっかり判断したい。

 自民、公明に日本維新の会などを加えた「改憲勢力」が、非改選議席と合わせて改憲の国会発議に必要な3分の2以上の議席を維持するのかも大きな焦点だ。安倍首相は9条への自衛隊明記などを訴えた。有権者の関心が高いとはいえないが、投票結果次第で改憲論議を強気に進めるとみられる。各党の訴えをきちんと見極めたい。

 懸念されるのは投票率だ。共同通信社の情勢調査では、参院選に「関心がある」と回答した人は68・3%で、16年の前回参院選調査に比べ3・9ポイント低かった。投票率は前回の54・70%を下回り、50%を割り込むとの見方も出ている。

 前回の参院選で自民党は比例代表、選挙区ともに得票数は全有権者の4分の1に満たなかった。「1強」とはいっても、実態は少数派による安定多数を与党が形成しているに過ぎない。これでは健全な民主主義の姿とは言えまい。

 安倍首相の街頭演説中に「辞めろ」と声を上げた聴衆が警察官によって強制的に排除される事態も起こった。公権力による「表現の自由」の侵害とも言える行為である。一人一人が自由に意思表示できる社会こそ民主主義の基礎である。投票はその重要な機会だ。貴重な権利を行使してもらいたい。