児童の虐待防止 48時間ルール態勢拡充を

6月16日 09:20

 札幌市中央区で2歳女児が衰弱死するなど全国で児童虐待事件が相次いでいることを受け、厚生労働省は14日、全国の児童相談所長を集めた緊急会議を開き、虐待通告を受理してから48時間以内に子どもの安全を確認する「48時間ルール」の徹底を求めた。

 ルールは、安全確認できない場合は立ち入り調査をし、虐待による外傷、育児放棄(ネグレクト)、性的虐待が疑われるケースでは、警察と連携して対応することを求めている。昨年3月に東京都目黒区で起きた5歳女児虐待死事件を受けて児相に課されたが、札幌の事件では守られていなかった。

 札幌市児相は近隣住民からの再三の通報にもかかわらず、2回目の通報以降、積極的に動いておらず、警察が事前に知らせた面会にも同行せず、最後まで直接女児の安全を確認することはなかった。

 事件を受けた北海道の緊急調査では、札幌市を除く道内8カ所の児相で4~5月に受けた虐待通告746件のうち、48時間以内に安全確認できなかったケースが64件に上った。広大な管内を抱える事情はあるが、ルール順守の態勢が整っていないことが判明した。虐待の再発を防ぐため徹底した検証が求められる。

 虐待相談件数は急増しており、熊本県内3カ所の児相が2018年度に対応した件数も1532件と、5年連続で過去最多となった。10年前に比べて4倍近い伸びである。相次ぐ虐待事件を受けた関心の高まりが背景にあるが、現場は年々多忙を極めている。緊急会議では、ルール徹底と在宅指導事案の再確認を求めた厚労省に対し、児相側から「警察からの通告が増え、現場は大混乱している」と窮状を訴える声も上がった。

 安否確認が難しいのは、子どもが保育園や学校に来なくなるなど、どこにも属していない場合が多いからだ。深刻なケースほど密室化する傾向にあり、対応には膨大な労力や時間を要し、経験も求められる。

 幼い命を守るためには、48時間ルールの順守に向けた児相と警察の連携強化はもちろん、緊急対応が必要なケースを迅速に見極め、一時保護につなげる態勢の拡充が急務と言える。併せて社会全体の意識改革も求めたい。