地方創生 政府の本気度が問われる

6月13日 09:17

 政府は、2020~24年度に取り組む地方創生の施策の方向性を示す「まち・ひと・しごと創生基本方針」案を公表した。14年末に策定した地方創生の第1期(15~19年度)総合戦略に引き続き、東京一極集中の是正を最重要課題と位置付け、対策を拡充する。

 しかし、第1期では当初掲げていた成果は上げられておらず、今回の方針でも即効性が見込める新規施策は乏しい。年末にも予定されている第2期の総合戦略策定とその後の運用に向けて、地方創生を「最も重要な政策」(安倍晋三首相)と位置付けている政府の本気度が改めて問われる。

 基本方針案で、新たな目玉施策とされるのが「関係人口」の拡大だ。特定の地域と継続的に交流する都市住民を指す。その地域の出身者や在住経験者、ふるさと納税を機に関係を深めた人などが、定期的に地域の活動に参加することで、住民とともに課題の解決を目指す考え方という。

 「移住」と「観光」の中間の立場で活動し、地域活性化や将来的な移住者拡大が期待されている。関係人口の拡大に向け、副業・兼業も含めた多様な形態で、都市部の人材を地方企業と結び付ける仕組みも創設するとしている。

 関係人口の拡大が地域の活性化につながる、という考え方に異論はない。県内でも、水俣市などで山村体験やイベント参加を通じた交流の広がりがみられる。しかし、実際に移住につながるには相当な時間がかかるとみられ、人口減少が深刻な自治体の危機感に即応できるものではないだろう。

 基本方針案にはこのほか、企業の地方移転を促す税制拡充、企業版ふるさと納税の手続き簡素化、高校生対象の担い手育成などが並ぶが、総花的な印象は拭えず、これらも実効性には疑問が残る。

 第1期総合戦略では、政府機関・企業の地方移転や、地方大学の活性化、若者の移住支援などを重点施策に掲げた。自治体も地方版総合戦略を作成し、まちづくりや子育て環境の整備などに取り組んでいる。ただ、こうした施策が、どこまで人口増や産業創出に結びついたのか。

 政府は「20年に東京圏と地方の人口の転出入を均衡させる」という数値目標を設定していた。しかし、18年も東京圏は約14万人の転入超過となり、13年の10万人からさらに拡大している。今回の基本方針案で政府は、20年の均衡目標を「達成が難しい」と断念。新たな期限設定は、第2期戦略に持ち越すことになった。

 政府は第1期の主要施策を維持する方針だが、第2期戦略策定を前にこれまでの施策の十分な検証が欠かせまい。人口流出を止められない理由について、本格的に施策を見直す作業をすべきだろう。

 その上で、地方の現状に目を凝らし、地方の声にしっかり耳を傾けることで、実効性のある施策が打ち出されることを期待したい。自治体間の競争をあおるだけではなく、地域の取り組みをきめ細かく支える視点も必要ではないか。