くすぶる同日選 野党は民意の受け皿示せ

5月24日 09:19

 夏の参院選に合わせた衆参同日選の観測がくすぶる中、野党が危機感を募らせている。

 参院選では、勝敗を左右する32改選1人区の候補者一本化がようやく大詰めとなったものの、衆院小選挙区での候補擁立が遅れているためだ。

 無論、選挙に向けた候補者調整や協力だけでは野合との批判も受けよう。しかし3回目の延期論も浮上している消費税増税問題、アベノミクスや日銀の大規模金融緩和、北朝鮮による日本人拉致問題への大きな方針転換、北方領土をめぐるロシアとの交渉など、安倍晋三政権への評価は国民の間で大きく分かれている。

 財務省による公文書改ざんなど「安倍1強」の弊害を6年半近くも許してきたのは野党の「多弱」にほかならない。野党は内外の重要課題に対する考えを統一し、民意のもう一つの受け皿を国民に示し、同日選に向けた準備を加速させていく必要がある。

 参院選は「7月4日公示-21日投開票」が有力視されている。

 野党5党派は21日、1人区のうち、山形、福島、栃木、群馬、新潟、福井、三重、和歌山の8選挙区で候補者を一本化することに合意した。熊本、愛媛、沖縄の一本化はすでに合意しており、計11選挙区で統一候補が決まった。

 残り21選挙区も大筋合意もしくは調整中で、「今月中には一本化を実現」(立憲民主党・福山哲郎幹事長)させるという。

 6年前に大勝した与党側の候補者は地元での活動を活発化させているという。野党の動きは遅すぎた感もあるが、第1党の立民と第2党の国民の主導権争いが克服されつつあることは評価できよう。立民の枝野幸男代表は参院1人区に加え、衆院小選挙区の候補者一本化に向けた協議も急ぐことにしている。

 ただ野党の結束は、自民党幹部の発言がきっかけになった面もある。安倍首相の側近とされる萩生田光一幹事長代行は4月、秋に予定される消費税引き上げについて景況感次第では延期もあり得ると述べ、その場合には「国民に信を問うことになる」と同日選の可能性に言及。準備不足の野党に衝撃が走った。

 消費税増税延期を理由にした同日選の観測は日増しに強まっている。このほど発表された1~3月期のGDP速報値はプラス成長だったものの輸出、個人消費、設備投資が落ち込み、内需の低調さが目立ったことが背景にある。米中貿易摩擦も不透明感に拍車をかける。加えて自民党には「内閣支持率が高く、衆院選に向けた野党の候補者擁立が進んでいない今なら勝てる」という判断もあろう。

 野党は、長い多弱で失った信頼を回復するためにも、一刻も早く結束し、未来への選択肢を国民に示すべきだ。

 来月19日には党首討論も開催される予定だ。安倍首相に対して論戦を挑むだけでなく、野党側から衆院解散を求めることができるような態勢を急ぎたい。