9月11日付

9月11日 09:20

 日本時間の日曜日の早朝、世界女子テニス界に新女王が誕生した。全米オープンで初優勝した大坂なおみ選手。テレビはずっとこの話題を取り上げ、北海道に住む祖父まで画面に登場するフィーバーぶりだ▼この人の魅力は力強いプレーもさることながら試合後のインタビューにある。なんと優勝後に「こんな終わり方ですみません」と謝ったのだからみんな驚いた。決勝戦で戦った元女王セリーナ・ウィリアムズ選手は、「アイ・ラブ・ユー」と告白するほどあこがれていた選手だ▼異常な試合だった。思うようにプレーできない元女王は審判から警告を受けるたびに冷静さを失った。この試合に勝てば四大大会歴代最多の24勝に並ぶ。観客のほとんどが元女王の味方。地鳴りのようなブーイングの中で新女王は誕生した▼しかし、本当だろうか。元女王は冷静さを欠いていたのだろうか。意識する、しないは別にして、迫り来る新女王にあらん限りの戦術で対抗したとも考えられる。崩すなら精神面しかない。歴戦のつわものだからこそ肌で感じていたのではないか▼異常な雰囲気の中で、大坂選手は勝った。ベンチに戻ると両手で顔を覆ってむせび泣き、しばらく立ち上がれなかった。元女王は娘を見るような優しいまなざしで「おめでとう、なおみ。もうブーイングはやめて」と観客に呼び掛けた▼ハイチ系米国人の父と日本人の母との間に生まれた。身長180センチ。目元が祖父にそっくりの20歳。次の試合後のインタビューが今から楽しみである。