10月21日付

10月21日 07:02

 スヌーピーで有名な米コミック『ピーナッツ』。主人公チャーリーをフランス風に読むと「シャルリ」、これに週刊を意味する「エブド」をつなげたのが、かの風刺紙らしい。ただ、中身は本家よりかなり過激だ▼2015年1月、パリのシャルリエブド本社が襲撃され、編集者らが死亡した。きっかけはイスラム教預言者ムハンマドの風刺画の掲載。イスラム過激派によるテロが続発する引き金となった▼襲撃事件の裁判がこの9月に始まると、同紙は風刺画を再掲。反発してテロが起きた。そして、表現の自由を考える授業で風刺画を使った中学校教師までがテロの犠牲となった▼かつてキリスト教の権威と闘って獲得した自由。ムハンマドを風刺するのも自由というのがフランス流か。しかしイスラム圏からの移民が増え、摩擦は絶えない。自由こそ最大の価値とする個人主義と、他の宗教を超えるムハンマドを規範の根幹とする神中心主義の相克▼一方で、「表現の自由こそ絶対」とする立場は、「イスラム教以外は認めない」として世界遺産の仏像を破壊した主張とどこか通じるようにも見える。ちなみに何点かの風刺画を見たが、高度の批判というより、むしろレベルの低いやじの類いか▼宗教、文化、習慣-。相互理解は大切だが、分かり合えない、譲れないこともある。ならば互いに違いを認め、自制し、衝突を避ける努力をするのが知恵だろう。自由も信仰も他者の権利と尊厳は侵せない。歴史問題を抱える国にとっても他山の石である。