4月2日付

4月2日 07:04

 <万愚節[ばんぐせつ]主治医が病んでしまひけり>(大牧広)。4年前の本紙夕刊『四季の森』に掲載された句である。万愚節とは4月1日のエープリルフールのこと。当時の解説には「うそみたいな本当の話」とあるが、コロナ禍の今、医療関係者の感染も少なくない中で笑えない話になってしまった▼きのうの小欄でも触れた緊急事態宣言の発令をはじめ、世界的にもコロナ絡みの流言飛語が多数出回っている。エープリルフールも迎え、各国・機関が注意喚起に躍起になっているという▼緊急事態宣言の発令などは、いつ本当になってもおかしくはない。うそを罪のないものとして笑い飛ばすには、そのうそが現実離れしている状況と、それをユーモアとして受け止めるだけの社会の余裕が必要なのだろう▼笑えないうそが、まん延する一方で、「そのうそに罪はないのか」と問いただす動きも始まっている。森友学園への国有地売却を巡る公文書改ざん問題で、自殺した近畿財務局職員赤木俊夫さんの妻が呼び掛けた、第三者委員会による調査を求める電子署名である▼開始から3日間で賛同者は20万人を超えた。これは、この署名サイトの日本発のキャンペーンでは最多最速の記録だそうだ▼改ざん問題を巡っては、関わった官僚は全て刑事罰を免れた。それどころかそのほとんどが後に出世を果たしている。「本当のことを知りたい」との呼び掛けに応じた多数の署名が映し出すのは、うそが罪にならない行政が、「病んでしまひけり」との危機感であろう。