9月8日付

9月8日 08:01

 「よその地区から来た嫁を実家にかえす」とは、山都町の八朔[はっさく]祭で語られてきた言い方だ。例年7月に入るころ、商店街の町衆たちは秋の祭りに向け「大造り物」の制作準備を始める▼呼び物の大造り物引き回しは、近郷の農家を楽しませようとしたのが始まり。杉の皮やススキなど天然の素材で、伝説上の動物などを作る。商店街各地区が出来栄えを競うため、何を作っているかは当日まで秘密。作業は小屋掛けの覆いの中で進む▼今ではその守秘性も随分薄れたが、「嫁をかえす」という言い方に昔日の徹底ぶりを感じる。引き回しを前に昨日、作り手の友人から「こっそり」写真を送ってもらい、今年もその見事さに驚かされた。今日午後1時から計11体が商店街を練り歩く▼守秘に敏感な局面と言えば、選挙の出馬表明もそうだろう。戦いへの思惑や関係者との調整もあって、本人もなかなか秘めた意思を明かせない。注目の次期知事選に、現職の蒲島郁夫氏が出馬の意向といよいよ報じられた。4期目への挑戦である▼熊本で戦後4期16年を務めた知事はなく、異論もあるようだが、「清正公さんも12年」と言われてきた。既に元熊本市長の幸山政史氏が出馬の意向を示している。前回知事選でもこの2人は争った▼そう言えば昨年目を引いた大造り物に、相まみえる一対の虎と竜があった。作品名は「タイガー(虎)腹ん立つ(竜)」。どこの地方商店街も景気のよい話ばかりではないはず。町衆の風刺に触れて、留飲を下げる秋の一日もよし。