株式会社大橋時計店「創業130周年を機に強固な組織づくり推進」代表取締役社長・大橋瑠里氏【トップインタビュー】

─昨年2月、創業130周年を迎えました。

大橋　1894(明治27)年から長きにわたって店を続けてこられたのも、熊本のお客さまあってこそだと思っています。また、ご縁をいただいた多くの熊本の取引先に育んでいただいたことにも感謝の念が堪えません。この節目を、社内を振り返る一つの機会と捉え、より強いチームを構築し地元に恩返しできる企業であり続けたいという思いから、「肥後の水とみどりの愛護基金」に参加することにしました。この基金は次世代にかけがえのない「熊本の水」を守り伝えていくもので、植樹や棚田の保全など多岐にわたる活動が行われています。秋には社員家族と稲刈りに参加し、自然保護の大切さ、郷土への思いを新たにしたところです。未来の子どもたちに向けた「豊かな時をつなぐ」活動の一環として継続していきたいと考えています。

─社会活動への参画が社内の親睦を深め、新しい視点を養う機会になります。

大橋　社風の良い伝統は受け継ぎつつ、新たな社内環境整備にもチャレンジしています。昨年は福利厚生の一環で「置き型社食」を取り入れ、社内に専用冷蔵庫を設置しました。健康維持のため無農薬の野菜や果物を使ったメニューが多く、昼食時の会話も弾んでいるようです。ありがたいことに、私たちの仕事は節目のお祝いなど晴れの日のためにお求めいただくことがほとんどです。オンラインで必要なものを買い求めることができる時代ですが、店に足を運んでいただいたお客さまに、社員一人一人が心身共に健康かつ魅力あふれる笑顔で接客できることが会社の強みになるのだと思います。

─今年は店舗のリニューアルなど、新たな取り組みが予定されています。

大橋　一昨年のカルティエコーナーに続き、今年は上通側の店舗(本館)の改装を進めます。私たちの仕事は時計やジュエリーの販売を柱として“豊かな時をつなぐ”という使命があります。時の芸術品を豊かなライフスタイルとともに楽しんでいきたいという思いから、スーツやレザー製品のオーダーメードのご提案も継続していきます。また、海外からのお客さまの増加も見据え、世界の一流品に加え、「グランドセイコー」など日本のすばらしい物づくりの技術を体感いただける、時計専門店としては九州唯一のグランドセイコーサロンとして、豊かな“時の文化”と共に“日本の文化”を感じていただける居心地の良い店づくりを進めていきます。