「熊日プレジデント倶楽部」は、熊本を代表する有力企業や団体、教育・医療機関のトップと熊本日日新聞社で構成する情報発信・交流の場です。会員企業・団体のトップが自社の現在地や今年の展望を語った新春インタビュー、イベントリポートなど各種コンテンツは特設ページよりご覧いただけます。
熊本県酪農業協同組合連合会「安全安心な牛乳の生産・出荷体制構築へ」代表理事会長・隈部洋氏【トップインタビュー】
熊日プレジデント倶楽部─酪農の現状はいかがでしょうか。
隈部 一昨年まで2年連続で生乳価格が改定され、ようやく光が見えてきた感があります。しかし、子牛の販売価格の低迷や飼料価格、その他の諸経費も上昇するなど依然厳しい状況が続いており、酪農家数は減少しています。また、西日本は夏の猛暑で乳牛が夏バテして食欲不振になり、生乳生産量が減少しました。来春からの生乳生産に欠かせない乳牛の分娩時期にも影響が出ており、夏に需要が高まる牛乳の生産が懸念されます。さまざまな暑熱対策は行っていますが、今後のさらなる猛暑対策が急務だと思っています。
─県酪連は増収が続いています。
隈部 令和6年上期は、生乳・乳業の事業が共に伸び、事業高は373億円と前年の102%であり増収増益での進捗となっています。生乳部門は、夏場の生産量が減少したものの徐々に回復しています。乳業部門は年間240億円の目標に対し上期で125億円を達成しており、良い実績が残せると期待しています。昨年8月には、熊本工場に増設した冷蔵倉庫が稼働しました。ロボットの導入で省力化を図り、働き方改革を実現。生産した牛乳や飲料の保管スペースも確保し、これまで以上に円滑な出荷体制の構築を目指します。菊池工場では大型容器用充填機を更新し、常温で長期保存が可能な利便性の高いキャップ付き1000㍉㍑のロングライフ牛乳の製造を予定しています。半導体企業の進出が進む菊池地域周辺での農地転用による牧草地不足に対しては、国や県に代替地の確保や、堆肥センターの建設などを要請する予定です。日本の食料自給率アップ、第一次産業の発展を目標としています。
─今後の展望をお聞かせください。
隈部 昨年の創立70周年、「らくのう牛乳」発売50周年を経て、今年は一般消費者に向けた理解醸成施設である阿蘇ミルク牧場が25周年を迎えます。熊本は西日本一の酪農県であり、全国3位の生乳生産量、飼養頭数を誇ります。私たちは"チームマザーズ"として、真心のこもった新鮮な生乳から生まれる安全で安心な牛乳や乳製品を多くの消費者に届けたいという思いがあります。今後も、国の畜産物輸出コンソーシアム推進事業などを利用した輸出の推進、事業継承や新規就農に向けたサポートに力を入れていきます。今、求めるのは、これからの酪農発展への新しい発想力と行動力を備えた人材です。意欲ある仲間と共に、県内酪農家を支えていくことを願っています。
概要
所在地 | 〒861-8041 熊本市東区戸島5丁目10-15 【電話】096(388)3511 |
---|---|
設立 | 昭和29年4月3日 |
会員 | 20組合 |
出資金 | 9億5,878万円 |
売上高 | 730億1,500万円 |
事業内容 | 生乳業務事業、購買事業、指導事業、食肉事業、素畜事業、乳業事業、阿蘇ミルク牧場事業 |
役職員数 | 理事12人、監事3人 |
職員数 | 275人 |
事業所 | マザーズ・ステーション(菊池市・宇城市・あさぎり町)、食肉課(菊池市)、熊本工場、菊池工場、阿蘇ミルク牧場 |
支店 | 熊本、福岡 |
営業所 | 関東、関西、中四国、北九州、大分、長崎、南九州 |
協同会社 | (株)マザーズファーム、(株)らくのう運輸 |
ホームページ | https://www.mothers.or.jp/ |
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