「熊日プレジデント倶楽部」は、熊本を代表する有力企業や団体、教育・医療機関のトップと熊本日日新聞社で構成する情報発信・交流の場です。会員企業・団体のトップが自社の現在地や今年の展望を語った新春インタビュー、イベントリポートなど各種コンテンツは特設ページよりご覧いただけます。
KMバイオロジクス株式会社「製品や技術を海外へ グローバル化を推進」代表取締役社長・永里敏秋氏【トップインタビュー】
熊日プレジデント倶楽部─2023年中期経営計画の総括をお願いします。
永里 23年度までの3年間は、おおむね計画通りに推移しました。24年3月期決算は、売上高約405億円。経常利益は約48億円で、
グループ会社の明治アニマルヘルスと合わせると約66億円でした。血漿分画製剤の製造が順調に伸びており、同事業の売り上げは前期比13・9%増の約103億円で、初めて大台を突破。当社が医薬品の製造販売を承継して以降、血漿分画製剤の売り上げを信頼回復の指標に掲げていました。安定生産体制の構築や組織の見直し、法令順守、品質管理の徹底など多角的に改革に取り組んだ結果、社会的評価を得られたことを非常にうれしく感じています。季節性インフルエンザワクチンの出荷量については、国内シェアトップを維持しています。開発を進めていた12歳以下の小児向け新型コロナウイルスワクチンは、前期内に薬事承認申請できませんでした。
─26年中期経営計画の主な取り組みを教えてください。
永里 最優先事業として、明治グループ全体で事業のグローバル化を推進していきます。既存のインフルエンザワクチンや血漿分画製剤の一部の海外輸出を始めており、期間中に輸出を拡大していく予定です。デング熱やエムポックス(サル痘)ワクチンの研究・開発は国からの支援を受けて進めていますが、海外でどう臨床試験を実施するかが課題です。一方で、エムポックスがアフリカを中心に感染拡大していることから、昨年11月、当社のエムポックスワクチンがWHO(世界保健機関)から緊急使用の承認を得ました。また、製品を販売するだけでなく、技術やノウハウを提供することでロイヤリティーとして収益化する事業にも着手しています。小児向け新型コロナワクチンは従来型の「不活化ワクチン」を開発中です。臨床試験に時間を要していますが、早期申請を目指します。ただ、新型コロナに限らず、国内ではワクチンの接種率が低下傾向にあるのが懸念材料です。感染症予防の啓発にも力を入れていきたいですね。
─今期の業況は。
永里 半期までは順調に来ています。季節性インフルエンザワクチンは想定よりも早く生産・出荷できました。血漿分画製剤事業も好調で、120億円の売り上げを見込んでいます。血漿分画製剤の中でも免疫グロブリン製剤が世界中で不足しており、生産力を高めて需要に応えていきたいと考えています。今期は売上高・経常利益共に23年度を上回る数字を見込んでいます。
概要
所在地 | 〒860-8568 熊本市北区大窪1丁目6-1 【電話】096(344)1211 |
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事業内容 | ヒト用ワクチン、血漿分画製剤の研究・開発・製造・供給、動物用ワクチンの製造、新生児マススクリーニング |
設立 | 平成30年3月7日 |
資本金 | 100億円 |
役員 | 代表取締役会長/小林大吉郎 代表取締役社長/永里敏秋 取締役/黒沢 亨、菱沼 純、中山峰男、本松 賢、西川正明 監査役/千田広秋、富田正夫 |
従業員数 | 2,018人(2024年6月現在) |
事業所 | 本社/熊本事業所、菊池研究所、合志事業所、阿蘇事業所、新生児スクリーニングセンター、配送センター、東京事務所 |
ホームページ | https://www.kmbiologics.com |
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