株式会社杉本本店「和牛の飼育頭数 3年連続で日本一に」代表取締役・杉本光士郎氏【トップインタビュー】

熊日プレジデント倶楽部
熊本日日新聞 2025年1月1日 00:00
熊日プレジデント倶楽部 トップインタビュー Sponsored
代表取締役 杉本光士郎氏
代表取締役 杉本光士郎氏

─海外輸出に力を入れておられます。

杉本 当社では、オリジナルブランドの黒毛和牛「黒樺牛」を自社牧場で繁殖・肥育しています。イスラム法の基準を満たした食品であることを示す「ハラル認証」を得ており、イスラム圏のアラブ首長国連邦(UAE)やタイ、マカオ、香港、台湾などに輸出しています。昨年6月からはサウジアラビアへの出荷を開始しました。サウジへの輸出企業は国内では2社目で、年間6㌧の出荷を見込んでいます。これで輸出先は七つの国と地域になり、年間当たりの出荷量は100㌧を超えました。現在はマレーシアの認証取得を進めています。海外では和牛の人気が非常に高く、引き合いや相談が増加。当社では販路拡大やブランディングを図ることを目的に現地のバイヤーとの折衝や食品展示会への出品に注力しているほか、牧場や生産工場の視察も積極的に受け入れています。昨秋は台湾やタイの方が数多く来られました。輸出目標は、2027(令和9)年までに年間500㌧、年商の20%を掲げています。

─国内需要の状況は。

杉本 サーロインやリブロースといった高級部位の需要が低迷しており、これには主に二つの理由が挙げられます。一つは物価高騰による消費抑制です。高級部位は値が張るため、低価格帯の手頃な肉が選ばれるようになりました。もう一つは健康志向の高まりで、"サシ"と呼ばれる筋間脂肪が多く入る霜降り肉が敬遠されるようになりました。最近のインバウンド増によって焼き肉店などで高級部位の需要が高まっている一方、スーパーの店頭販売状況は芳しくありません。そこで当社では、サシが多い霜降り肉を海外に、そうではない肉を国内に出荷するなどして対応しています。近年、不安定な国際情勢や円安が響いて飼料や光熱費が値上がりしており、和牛の低迷で価格下落が続くようであれば、畜産業全体の衰退につながるのではないかと危惧しています。

─和牛の飼育頭数が3年連続で日本一になりましたね。

杉本 人吉市矢岳町の自然豊かな山あいにある矢岳牧場をはじめ、グループ全体で約100カ所の牧場を運営し、約3万頭を飼育しています。黒樺牛というブランド牛をこの規模で一貫生産しているのは大きな強みです。黒毛和牛のブランド牛は全国に数多くありますが、その中で選ばれるよう品質向上と安定生産に努めるとともに、引き続き海外展開を強化していきます。熊本県産牛のブランド価値を高め、県畜産業の発展にも寄与したいですね。

熊本県宇城市にある新本社工場
熊本県宇城市にある新本社工場

概要

所在地 〒861-4307 宇城市豊野町巣林538番地
【電話】0964(45)2611
事業内容 食肉卸、小売、和牛繁殖、和牛肥育
設立 昭和58年1月(創立 昭和23年1月)
資本金 5,000万円
役員 取締役会長/杉本知彌
代表取締役/杉本光士郎
専務取締役/杉本侑次朗
従業員数 183人(グループ計)
グループ企業 (株)矢岳牧場、(株)スギモトファーム
ホームページ https://www.sugimotohonten-shop.com/

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