株式会社セルモ「葬儀後の多様な相談に応じる部署を創設」代表取締役社長・岩上梨可氏【トップインタビュー】

─冠婚葬祭業界の動向はいかがですか。

岩上　冠婚業界はコロナ禍前の2019年と比べると、婚姻組数が75％に減少、その中の結婚式実施数も50％を切る状況です。当社も、九州に持つ四つの結婚式場それぞれの戦略を変えていかなければならないと考えています。例えば、結婚式や法事のニーズに対応できるホテルに業態転換したり、フォトウエディング専門式場として売り出し方を変えたりといったことも視野に入れています。一方、葬儀の施行数はコロナ禍の時から増加傾向が続いています。コロナ禍では3密(密閉、密集、密接)を避けるため規模を縮小した葬儀が主でしたが、一昨年あたりから通常規模に戻り、200人を超える社葬や合同葬なども増えて葬儀単価は上がっています。最近、当社も500人超の葬儀を施行しました。

─「玉泉院」ブランドを再構築されるそうですね。

岩上　大規模な葬儀が増える一方、できる限り簡素化したいというお客さまが一定層おられることも明確になってきました。そこで、「玉泉院」ブランド初となる「一日葬専門ホール」を昨年12月、熊本市東区の西原にオープン。2月には同区江津にもオープン予定です。収容規模は20人程度のホールで、告別式から火葬まで一日で収め、宿泊を伴わずに施行する葬儀をご提供します。「玉泉院」は大規模葬、一般葬、一日葬の受け皿があることをアピールするCMを作成し、昨年末から放映しています。

─「アフター事業部」を創設されました。

岩上　葬儀後のサービス強化を目的に新設した部署で、今年は人員を増やしていく予定です。司法書士、弁護士、不動産鑑定士、行政書士、税理士などと提携し、相続や不動産登記、遺品整理、法要、墓じまいなど、さまざまな困り事の相談に応じます。玉泉院以外で葬儀をされたお客さまの利用も可能にします。

─今年の抱負をお聞かせください。

岩上　一昨年の創業55周年を機に企業方針として掲げた「ウェルビーイング(幸福)をかなえる企業へ」を前進させます。昨年は①従業員を正しい基準で評価できる仕組み②公平に教育を受けられる体制③コールセンターの立ち上げによる業務効率化―の基盤づくりに取り組み、今年はその試運転期間とし、来年から本格運用を始める計画です。南阿蘇村の「ホテル夢しずく」では大規模改装プロジェクトを進行中で、昨年は2階客室と大浴場露天風呂を改装。今年はロビーと共有部分、レストランを改装し、インバウンド需要にも対応できる施設として6月に完成させる予定です。