「熊日プレジデント倶楽部」は、熊本を代表する有力企業や団体、教育・医療機関のトップと熊本日日新聞社で構成する情報発信・交流の場です。会員企業・団体のトップが自社の現在地や今年の展望を語った新春インタビュー、イベントリポートなど各種コンテンツは特設ページよりご覧いただけます。
日本製紙株式会社八代工場「生産体制を再編 新領域の家庭紙にシフト」工場長・山邉義貞氏【トップインタビュー】
熊日プレジデント倶楽部─日本製紙全社と八代工場の本年度の事業状況はいかがですか。
山邉 全社の2024年度の業績を連結ベースで見ると、上期はオーストラリアの工場が森林伐採禁止に伴いパルプ生産停止に追い込まれるなど海外の事業が低調だったものの、通期での売上高は前年度のほぼ横ばいを見込んでいます。八代工場も石炭など原燃料費の値上がりでコスト高となり、売り上げは新聞用紙を含めダウンしました。原価改善に取り組んでいますが、減収減益は避けられない状況です。
─生産体制が再編成されることになり、八代工場はこれから変わりますね。
山邉 当社全体の事業構成は、紙・板紙が減少して5割を切る一方で、家庭紙は増え3割程度になりました。残りの2割は発電などの新事業です。こうした中、昨年8月、グラフィック用紙の需要減への対応として生産体制の再編成を発表。八代工場は新聞用紙を生産するN2抄紙機を今年6月末までに停機することとなりました。代わりに既存建屋を活用して家庭紙の生産設備を新設し、一部品目をトイレットロールやペーパータオルなどにシフトします。新聞用紙の生産は別の抄紙機で行い、九州地区への供給は今後も変わらず続けていきます。また、温室効果ガス削減に向けては11月に石炭を燃料に用いる自家発電設備である9号ボイラーを停機します。その後はバイオマス燃料とパルプ生産で生じる黒液を燃焼させる自家発電に切り替え、不足分は外部から購入する予定です。
─昨秋、創立100周年を迎えました。
山邉 創立記念日の10月15日、木村熊本県知事や中村八代市長など行政関係をはじめ、地元企業や近隣住民の方々を招いて記念祝賀会を催しました。皆さんの関心事はやはり工場の行く末で、あいさつを兼ねて「抄紙機は停機するものの、新しい領域として家庭紙事業の展開について方針を打ち出しました。この地でこれからも紙の生産を続けていきます」と申し上げました。
─今年はどのような年になりますか。
山邉 N2抄紙機をはじめとする停機設備から家庭紙立ち上げに関わる従業員を再教育する必要があり、すでにラインが稼働している各生産現場へ派遣し、1年以上かけて技術を習得してもらいます。今後の課題はN2抄紙機が停機すると家庭紙が立ち上がるまで大幅な減収となることです。当社全体で策定している中期経営計画で立てた目標は営業利益400億円。八代工場もその一翼を担っていますので、今後も安定操業に努め、各種努力を重ねることで目標達成に貢献したいと思います。
概要
本社所在地 | 〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台4-6 (御茶ノ水ソラシティ) 【電話】03(6665)1111 |
---|---|
八代工場 | 〒866-8602 八代市十条町1-1 【電話】0965(33)2111 |
工場設立 | 大正13年10月15日 |
事業内容 | 紙パルプ製造業 |
資本金 | 1,048億7,300万円 (令和6年10月1日現在) |
従業員数 | 全社/4,938人(令和6年10月1日現在) 八代工場/368人(令和6年10月1日現在) |
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