和久田建設株式会社「創業130周年　豊かで活力ある社会へ貢献」代表取締役社長・和久田数臣氏【トップインタビュー】

─昨年は創業130周年の年でした。

和久田　創業者・和久田清造の父親の儀三郎は江戸時代からの大工棟梁でした。長男に棟梁を譲った後、二男の清造が分家した年が明治27(1894)年だったため、それが創業年とされています。創業から130年を経た現在は、熊本市中央区の熊本本社に営業本部と各事業部を集め、八代市の八代本部に総務人事や財務経理、外注購買、福利厚生などの部門を置き、福岡市博多区に福岡支社を設けています。今月6日には創業の地である八代市で記念式典を開き、これまで当社を支え応援していただいた方々に謝辞を申し上げたいと思っています。

─建築・土木・住宅の各事業を幅広く展開されています。

和久田　建築では学校や病院、行政機関の施設、大型旅館、マンション、工場、大型店舗などを多く手掛けていますが、最近は物流倉庫やドラッグストア、ディスカウントストアなどの受注が増えています。土木では新幹線の駅前広場や高速道路の高架橋、堤防の地盤改良、土地造成、用水路改修などの工事を請け負い、住宅は木造や鉄筋コンクリート住宅を建設しています。熊本地震の経験を生かそうと、近年は大地震による被害を軽減する特許技術「すべり免震」を施したモデル住宅「堅蔵RCキュービック」を展開しています。─特許を取得した「すべり免震」とは。

和久田　一般的な免震構造とは異なり、住宅と地面の間に薄くて丈夫な鋼板を敷き詰めることで、大きな揺れが起きた場合に建物の基礎ごと横に滑らせ、横揺れによる被害を和らげるものです。他の免震構造に比べ、すべり免震はコストも安くできます。福岡大学工学部の高山峯夫教授に協力いただいた実験データを基に、一昨年9月、特許を取得しました。今後は自社での施工だけでなく、特許を活用した住宅の普及を図りたいと考えています。

─今後の抱負をお聞かせください。

和久田　さまざまな建築物や土木構造物の設計ができる優秀な技術者の採用と育成に努めます。そして、健康経営を推進し、社員が幸せを感じられる会社を目指したいですね。当社は八代本部のビル内で会員制スポーツクラブ(社員は無料)を運営していますが、そこには、会員でない住民の方が無料で使えるスペース「フリーブ」を設けています。本の読み聞かせやミニコンサート、カラオケやeスポーツ、物産展や各種講習会などを企画し、交流の場を提供しています。今後も豊かで活力ある社会の構築に貢献したいと思います。