「熊日プレジデント倶楽部」は、熊本を代表する有力企業や団体、教育・医療機関のトップと熊本日日新聞社で構成する情報発信・交流の場です。会員企業・団体のトップが自社の現在地や今年の展望を語った新春インタビュー、イベントリポートなど各種コンテンツは特設ページよりご覧いただけます。
株式会社杉本本店「イスラム圏など海外輸出を促進」代表取締役・杉本光士郎氏
熊日プレジデント倶楽部─飼料や原料が高騰していると聞きます。
杉本 当社ではオリジナルブランドの黒毛和牛「黒樺牛」を自社牧場で飼育・生産しており、飼育頭数は日本一です。近年、不安定な国際情勢や円安が響き、飼料や原料の値上がりが続いています。しかし、スーパーの店頭では牛肉の値段はそれほど高くなっていません。これは原価高騰を価格に転嫁できず、収益が悪化していることを意味します。飼料の価格は数年前の約2倍。畜産農家は高齢化も進んでおり、廃業がさらに増えるのではないかと危惧しています。畜産はいったんやめてしまうと再開するのが難しい業種で、原価高騰は日本の産業の一つである畜産業が衰退する大きな要因となっています。当社では、飼料費削減とSDGsへの取り組みを目的に、製紙工場から出る廃紙(セルロース)を飼料に混ぜて与える実験を始めました。
─国内需要やECサイトでの売れ行きは。
杉本 国内需要は近年で最も低調といえます。和牛はいわゆるぜいたく品で、物価高が続く状況では食費を抑える人が増えることは仕方ありません。当社はイスラム法の基準を満たした食品であることを示す「ハラル認証」を取得しており、ステーキ店や焼肉店など、インバウンド向けの飲食店からの注文は増えています。ECサイトでの販売は、コロナ禍で高まった巣ごもり需要が継続しています。
─海外輸出の進捗は。
杉本 イスラム圏を中心に海外輸出に力を入れています。昨年、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開かれた食品総合見本市「ガルフード2023」に出品。黒樺牛を含めた和牛は人気で、UAEだけでなく周辺諸国のバイヤーから多くの注文や相談が寄せられました。輸出先は現在、UAEや台湾、シンガポール、タイ、マカオなどで、UAEに輸出される和牛の約70%は当社の商品が占めています。牛肉処理技術のない相手先には、当工場で精肉したスライス肉なども輸出しています。輸出は1頭フルセットが理想ですが、ロースやサーロインといった部位ごとのオーダーに応えるため、それ以外の部位を国内で販売する体制も整えました。この1年間、実際に各国、各地域に足を運び食文化について学びましたので、ニーズに合った提案をしていきたいと考えています。昨年、サウジアラビアの認証を取得しました。同国に牛肉を輸出するのは国内2社目で、年初から出荷が始まります。今後は台湾へのアプローチが増えるでしょう。輸出目標は、2027(令和9)年までに年商の20%を掲げています。
概要
所在地 |
〒861-4307 宇城市豊野町巣林538番地 【電話】0964(45)2611 |
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事業内容 | 食肉卸、小売、和牛繁殖、和牛肥育 |
設立 | 昭和58年1月(創立 昭和23年1月) |
資本金 | 5,000万円 |
役員 | 取締役会長/杉本知彌 代表取締役/杉本光士郎 専務取締役/杉本侑次朗 |
従業員数 | 165人(グループ計) |
グループ企業 | (株)矢岳牧場、(株)スギモトファーム |
ホームページ | https://www.sugimotohonten-shop.com/ |
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