KMバイオロジクス株式会社「海外展開視野に製品開発を強化」代表取締役社長・永里敏秋氏
熊日プレジデント倶楽部![代表取締役社長・永里敏秋氏](/sites/default/files/styles/crop_default/public/2024-06/p042_1.jpg?itok=LlJqUwv2)
─会社設立から5年たちました。
永里 製薬会社には製品の安定供給が求められます。この5年間、安定生産体制の構築に努めてきた結果、現在はしっかりとした基盤を築けたと考えています。業務の改善や効率化に取り組むとともに、人材教育を重ねたことで社員の意識も変わったと感じています。昨年は、当社で開発した5種混合ワクチンの製造販売が厚労省から承認されました。小児の定期接種として使用されている4種混合ワクチン〈百日せき、ジフテリア、破傷風、急性灰白髄炎(ポリオ)〉に、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Hib)ワクチンが加わった5種混合ワクチンが使用されるようになれば、小児期の予防接種回数の軽減につながります。また、血漿分画製剤は順調に売り上げを伸ばしており、2023年度の売上高は目標の100億円を達成できるのではないかと見込んでいます。
─新型コロナワクチンの開発状況は。
永里 当社では、12歳以下の小児向け不活化ワクチンの開発を進めています。当初は流行初期の従来株での承認申請を目指していましたが、日本を含め世界的に流行しているオミクロン株XBB・1・5系統に対応したワクチンに切り替え、第Ⅲ相臨床試験を昨年12月から開始しました。国内では小児の新型コロナワクチンの接種率は依然として低い状況にあり、安全性が高いとされる不活化ワクチンのニーズは高いと考えています。1日も早く実用化させたいですね。
─今後の展開について教えてください。
永里 会社設立以来、製品の海外輸出を拡大できるよう準備を進めてきました。国内の安定供給が最優先ですが、インフルエンザワクチンや血漿分画製剤の海外輸出を考えているほか、国内では感染リスクが少ないA型肝炎といったワクチンについては、感染リスクのあるアジアやアフリカ圏への技術供与を検討しています。デング熱やエムポックス(サル痘)ワクチンの研究・開発は、国からの支援をいただきながら順調に進んでいます。この二つのワクチンが完成すれば、海外輸出を含め世界に向けて大きく展開できるのではないでしょうか。なお、2023中期経営計画が今年度で終了するため、現在、2026中期経営計画を策定中です。同じ明治グループの医薬品セグメント(部門)であるMeiji Seika ファルマとともに、「グローバル」をキーワードにこれまでの取り組みを強化・発展させていきます。
![開発中の新型コロナワクチン治験薬](/sites/default/files/styles/crop_default/public/2024-06/p042_2.jpg?itok=Ow8_o2Nr)
概要
所在地 | 〒860-8568 熊本市北区大窪1丁目6-1 【電話】096(344)1211 |
---|---|
事業内容 | ヒト用ワクチン、血漿分画製剤の研究・開発・製造・供給、動物用ワクチンの製造、新生児マススクリーニング |
設立 | 平成30年3月7日 |
資本金 | 100億円 |
役員 | 代表取締役会長/小林大吉郎 代表取締役社長/永里敏秋 取締役/塩﨑浩一郎、黒沢亨、中山峰男、本松賢、西川正明 監査役/千田広秋、富田正夫 |
従業員数 | 2,015人(2023年11月現在) |
事業所 | 本社/熊本事業所、菊池研究所、合志事業所、阿蘇事業所、新生児スクリーニングセンター、配送センター、東京事務所 |
ホームページ | https://www.kmbiologics.com |
RECOMMEND
あなたにおすすめPICK UP
注目コンテンツNEWS LIST
熊本のニュース-
全国高校野球選手権熊本大会 準決勝・国府―天草工を速報中
熊本日日新聞 -
【速報】ロアッソ道脇 ベルギー2部SKベフェレンに期限付き移籍
熊本日日新聞 -
小4での成功体験「自分の支え」 バドミントンでロンドン五輪銀メダル・藤井瑞希さん 【熊日学童五輪50年】
熊本日日新聞 -
高校野球熊本大会、4強が激突 23日、リブワーク藤崎台 国府×天草工 九州学院×熊本工
熊本日日新聞 -
【とぴっく・人吉市】大村古墳まつり
熊本日日新聞 -
【とぴっく・大牟田市】鉄道写真・関連資料の展示会
熊本日日新聞 -
【とぴっく・熊本市】優秀安全運転事業所を表彰
熊本日日新聞 -
【とぴっく・熊本市】健軍夏祭り
熊本日日新聞 -
【とぴっく・熊本市】サマーファッションコンテスト
熊本日日新聞 -
【とぴっく・熊本市】子ども食堂が江津湖で夏祭り
熊本日日新聞
STORY
連載・企画-
移動の足を考える
「すべての道は熊本に通じる」とは、蒲島郁夫前知事が熊本県内の道路整備に向けた意気込みを語る際に使ってきたフレーズ。地域高規格道路などの骨格的な道路や鉄道網は、地域・産業の活性化はもちろん大規模災害時の重要性も注目されています。連載企画「移動の足を考える」では、熊本県内の〝足〟の現在の姿を紹介し、未来の形を考えます。
-
学んで得する!お金の話「まね得」
お金に関する知識が生活防衛につながる時代。税金や年金、投資に新NISA、相続や保険などお金に関わる正しい知識を、ファイナンシャルプランナー(FP)の資格取得を目指す記者と一緒に楽しく学んでいきましょう。
※次回は「遺言書は大切」編。7月29日(月)に更新予定です。