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日本製紙株式会社八代工場「創立100周年 紙以外の新事業も始動」工場長・藤原隆史氏
熊日プレジデント倶楽部─紙パルプ業界を取り巻く現況はいかがですか。
藤原 業界全体の2023年度上期(4―9月)は、国内販売数量が前期比93・5%でした。内訳はグラフィック系の新聞用紙や印刷・情報用紙が91・9%で、これまで右肩上がりだった段ボールなどの板紙も価格改訂があり94・9%でした。パッケージング用紙はインバウンドの回復、家庭紙はコロナ禍以降の衛生意識の高まりなどで伸びが見込まれますが、全体的に紙の需要は減少が続くと思われます。
─日本製紙全社の業績、業況は。
藤原 燃料費や原材料費の高騰を値上げでカバーした結果、23年度上期は増収増益でした。25年度までの中期計画では期初目標の売上高1兆1000億円を1兆2000億円に上方修正しています。紙の需要減対策では成長分野への事業転換を図っており、その一つがパルプの多目的利用です。SAF(持続可能な航空燃料)に用いるなどの新事業を検討しています。持続可能な社会構築に向けてはGHG(温室効果ガス)排出量の削減に注力。当初は2030年度までに13年度比45%削減が目標でしたが、エネルギー構成を見直し、削減幅を54%に拡大しました。並行して社有林の植え替えなどで森林資源の価値最大化を図るグリーン戦略も推進します。
─八代工場では新たな取り組みがありますか。
藤原 生産品目は新聞用紙、情報用紙、印刷用紙などのグラフィック系で、需要、生産量ともに減少していますが、原燃料費が落ち着き、価格転嫁の効果も出てきて、前年より増収増益となりました。こうした中、当工場でも新たな取り組みにチャレンジしようと畜産業界向けの養牛用飼料「元気森森®(もりもり)」の生産を開始しました。スギ材のパルプから消化率の高い繊維(セルロース)を抽出して餌にするもので、国産材を使うため安定供給が可能です。輸入飼料は為替や輸送の関係で価格変動が激しいことから畜産業界の期待は高く、特に牛の飼育が盛んな九州で注目されています。既に試験販売を始め、多くの牧場主から国産の餌で賄えるのはありがたいという声が寄せられています。
─今年の抱負をお聞かせください。
藤原 コロナ禍も落ち着いてきたことから、昨年は4年ぶりに夏祭り等のイベントを再開しました。八代工場で紙を作り始めたのは1924年。2024年は創立100周年を迎えます。10月ごろ記念イベントを催す予定で、従業員のみならず、地域の方々、工場内で働く協力会社の人たち、さらにOBの皆さんを含め皆で祝いたいと思います。
概要
本社所在地 |
〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台4-6 (御茶ノ水ソラシティ) 【電話】03(6665)1111 |
---|---|
八代工場 |
〒866-8602 八代市十条町1-1 【電話】0965(33)2111 |
工場設立 | 大正13年10月15日 |
事業内容 | 紙パルプ製造業 |
資本金 |
1,048億7,300万円 (令和5年10月1日現在) |
従業員数 |
全社/4,983人(令和5年10月1日現在) 八代工場/366人(令和5年10月1日現在) |
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