「熊日プレジデント倶楽部」は、熊本を代表する有力企業や団体、教育・医療機関のトップと熊本日日新聞社で構成する情報発信・交流の場です。会員企業・団体のトップが自社の現在地や今年の展望を語った新春インタビュー、イベントリポートなど各種コンテンツは特設ページよりご覧いただけます。
阿蘇製薬株式会社「アイデア詰まった新商品が話題に」代表取締役社長・久木康裕氏
熊日プレジデント倶楽部─昨年の事業状況はいかがでしたか。
久木 主力商品の救急ばんそうこうは生活に必要なものとして安定した需要があり、新型コロナ感染症が5類に移行した後も大きな変化はありません。米国、メキシコ、フィリピンにそれぞれ現地法人を設けており、救急ばんそうこうの売上比率は海外が8割、国内2割の状況です。当社はドラッグストアチェーンなどの相手先ブランドで商品を製造するビジネスシステムなので、一般消費者への社名の認知度があまり高くありません。そこで県のブライト企業やSDGs登録事業者への認定などを通じ、企業姿勢を知ってもらえればと思っています。
─新商品の開発状況はいかがですか。
久木 近く木管楽器演奏者が唇などを保護するために使うサポーターを発売します。クラリネットやサックスなどは、マウスピースに〝リード〟と呼ばれる薄く小さな板を装着して演奏します。口に当てたリードの振動が楽器の音源になるわけですが、長時間の練習で演奏者が唇などを痛めることがあるため、リードと唇の間に挟んで使用する専用サポーターが必要なことを知りました。そこで当社は、中学・高校の吹奏楽部や社会人吹奏楽団の協力を得て試作を繰り返し、衛生面の条件もクリアして間もなく発売を開始します。既存取引先との競合がない隙間市場を狙う商品で、全国に展開している総合楽器店での販売を予定しています。新商品が演奏者の負担軽減につながればうれしいです。
─ほかにも、テレビ番組で全国に紹介され話題になった商品があるそうですね。
久木 「指にまきやすい絆創膏(ばんそうこう)」という商品名でドラッグストア「マツモトキヨシ」から昨年夏に発売されたものです。2022年の世界青少年発明工夫展で銅賞を受賞した当時9歳だった茨城県の小学生のアイデアを商品化したもので、当社が製造を担当しました。ばんそうこうは薬剤の付いたパッド(ガーゼ部分)がテープの中央にあるのが普通ですが、パッドの位置をテープの端に寄せると指にクルクルと巻きやすくなるという発想です。発明した小学生には製造現場の見学に来てもらいました。昨年11月に日曜朝のテレビ番組で「小学4年生が発明」「ばんそうこうが地味にチェンジ」と全国に紹介され、話題になりました。
─今年の抱負をお聞かせください。
久木 今年は新商品開発・新市場開拓に向け、失敗を恐れない企業文化を醸成するスタートの年にしたいと思います。
概要
所在地 | 〒869-1101 菊池郡菊陽町津久礼91-1 【電話】096(232)2131 |
---|---|
業務内容 | 医薬品等製造販売業(救急絆創膏、磁気絆、魚の目絆ほか) |
設立 | 昭和25年10月 |
資本金 | 5,000万円 |
役員 | 代表取締役社長/久木康裕 取締役/上村行弘、生山三雄、久木敏子 |
従業員数 | 190人 |
営業所 | 東京営業所、大阪営業所、九州営業所 |
グループ企業 | アソ・インターナショナル(株)、康和(株)、アソ・コーポレーション(米国)、アソ・アメリカス(メキシコ)、アソ・フィリピンINC.、アソ・ヨーロッパ(オランダ)、(公財)阿蘇火山博物館 |
ホームページ | https://www.aso-pharm.co.jp/ |
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