国際展望 北朝鮮巡り「神経戦」続く

1月5日 09:11

 国際情勢は、依然として不透明感が拭えないままだ。核・ミサイル開発を続ける北朝鮮を巡る動きが焦点だが、軍事衝突という最悪の事態は何としても避けなければならない。関係各国には慎重な対応を求めたい。

予断を許さぬ状況

 北朝鮮の金正恩[キムジョンウン]朝鮮労働党委員長は1日、「新年の辞」を発表。米本土全域が核攻撃の圏内にあると誇示し、核を手放さない姿勢を改めて強調した。一方、今年は韓国で冬季五輪が開かれ、北朝鮮は建国70年(9月9日)を迎えることから、双方にとって「意義のある年」と述べ、五輪に代表団を派遣する用意があると初めて表明。南北関係改善に意欲を示した。

 韓国はこれを歓迎し、高官級の当局者会談を提案。板門店[パンムンジョム]の南北直通電話回線が再開されるなど緊張緩和に向けた動きは見られる。しかし、北朝鮮が近く大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射に踏み切るのではとの観測もあり、予断を許さない状況だ。

 一方のトランプ米政権は、国際的な圧力強化のため今月中旬、朝鮮戦争で国連軍に参加した国のほか日本や韓国、インドが参加する外相会合を開く。併せて国防相会合の開催も検討しているという。

 多国間の枠組みを活用して、朝鮮半島の非核化に向けた対話の場に北朝鮮を引きずり出す狙いだ。国防相会合には外交努力が軍事的な準備に裏打ちされていることを強調する思惑があろう。北朝鮮を巡り、中国やロシアも絡む「神経戦」が今年も続きそうだ。

真価問われる年に

 就任2年目に入るトランプ米大統領は、11月の中間選挙が正念場となる。トランプ氏は昨年末、重要公約の大型減税を実現させ立法面で初の大きな成果を上げた。その勢いに乗りたいところだが、支持率は低迷。与党・共和党が多数派を維持できず政権と議会の「ねじれ」が起きれば、公約実現は難しくなる。

 トランプ氏の一貫性を欠いた発言により外交政策の方向性もはっきりしない。政権内の不協和音が顕在化し、2016年の米大統領選でのロシア干渉疑惑の捜査も政権中枢に迫る。超大国の指導者として真価を問われる年となろう。

 そのロシアでは3月、大統領選が行われるが、有力なライバルは不在でプーチン大統領の再選が確実視されている。ただ、原油安や米欧の制裁で経済は停滞。国民は格差に不満を募らせており、政権長期化に伴う停滞感も漂う。

 プーチン氏が通算4期目の当選を果たせば、首相に転じた4年間を含め24年間にわたり政治の実権を握ることになる。だが、連続3選は憲法で禁止されており退任は不可避。当選後は後継者探しが最大の課題となりそうだ。

「二面性」変わらず

 中国では昨年、2期目の習近平指導部が発足。習総書記(国家主席)は「1強体制」を盤石にした。3月には、第2期習政権の本格的な船出となる全国人民代表大会(全人代)が予定されている。習氏は国家目標「社会主義現代化強国」建設へ向け、さらなる権力固めを図るだろう。

 対外関係では、国際社会での影響力を強めようと「大国外交」を展開。経済協力を軸に現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の推進に注力する。協調を演出しながらも、領土などの「核心的利益」に関わる問題では強硬姿勢を貫く「二面性」は変わるまい。

 欧州の将来を左右する英国の欧州連合(EU)離脱交渉は後半戦に入る。19年3月の離脱を見据え英EU自由貿易協定(FTA)が中心課題となるが、各国の利害が絡み難しい交渉となろう。ドイツではメルケル首相が昨年9月の総選挙後の連立政権づくりに失敗。指導力は影を潜めており、政治空白解消の見通しは立っていない。