少年法改正 更生の仕組みに不安残る

12月24日 09:25

 少年法の適用年齢を現行の20歳未満から18歳未満に引き下げることについて、法相の諮問機関・法制審議会の部会で議論が大詰めを迎えている。

 政府は、2022年4月から成人年齢を18歳に引き下げる改正民法と整合性を取るため、法制審の答申を受けて早ければ来年の通常国会に少年法改正案を提出したい考えだ。

 しかし、現行制度は非行少年の更生などに十分役立っていると改正に反対する声は根強い。「応報」ではなく、「教育」に主眼を置く少年法の趣旨を十分に踏まえ、スケジュールありきではなく、丁寧な議論を求めたい。

 部会での意見対立が続く中、法務省は今月、引き下げにより少年法の保護対象から外れる18、19歳の処分について、新たな案を示した。(1)「一定の事件」は検察官が家裁の判断を経ず起訴し、その他の事件は全て家裁に送致する(2)容疑があれば全事件をいったん家裁に送致する-の2案である。

 一定の事件は、殺人や傷害致死など重大犯罪を指すとみられる。心理学などの専門家である家裁調査官が成育歴や家庭環境、交友関係などを調査したり、本人や親に教育的に働き掛けたりする家裁の関与を強めた内容で、18、19歳の扱いを現行法に近づけた形だ。

 法務省には、新たな案によって反対を和らげようとの狙いもあるようだが、求められるのはそんな駆け引きではあるまい。若者の犯罪抑止と立ち直りに何が必要か、しっかり見極めることが重要だ。

 現在、20歳未満の少年の事件は家裁に送致され、家裁調査官が調査する。家裁審判前に少年鑑別所に収容された場合は、法務教官や法務技官が行動観察などを行う。綿密な調べに基づいて立ち直りのため“処方箋”がつくられ、家裁は審判で少年院送致や保護観察といった保護処分を決定する。

 少年院では24時間態勢で更生の教育や指導が施される。16歳以上で「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件」は原則、検察官に逆送され刑事裁判となる。

 少年法の適用年齢引き下げにより、18、19歳はこうした手厚い保護の対象から外れることになる。逮捕、書類送検されても、起訴猶予になれば刑罰を受けることも、少年院で更生のため教育を受けることもなくなる。

 更生の新たな手だてとして、起訴猶予となった全事件を家裁が調査し、内容により審判で保護観察などの処分を決定する案もある。しかし、部会では20歳以上と同じ成人としながら18、19歳にだけ不利益処分を科せるのか、といった指摘もあり、意見が分かれる。

 少年院の元院長らは先月、法務省に「年齢引き下げは最後の成長発達の機会を剥奪することになる」との声明書を提出。日弁連なども反対声明を出している。18、19歳に相応の責任を負わせるとの考え方も強調されるが、更生の仕組みに不安を残したままの拙速な法改正で、若者が立ち直る機会を奪ってはならない。