東京パラまで1年 「共生社会」進める好機に

8月23日 09:02

 2020年東京パラリンピック開幕まで25日で1年。きのうから国内在住者向けに販売するチケットの抽選申し込みも始まった。

 大会は、障害の有無に限らず、年齢や性別、国籍といった多様性を認め合う「共生社会」の実現へ取り組みを進める絶好の機会とも言える。大会の成功に向けて万全の準備を進めたい。

 東京パラリンピックは、五輪後の来年8月25日から9月6日までの13日間、開閉会式を含め五輪と同じ会場で開催される。22競技540種目が行われ、史上最多の4400人が参加する予定だ。肢体不自由が対象の車いすラグビーやボッチャ、視覚障害のゴールボールなどのほか、水泳や卓球、陸上競技では知的障害も対象となる。

 さまざまな障害のあるアスリートが世界中から集い、自らの限界に挑む。大会の意義について、日本パラリンピック委員会は「多様性を認め、誰もが個性や能力を発揮し活躍できる公正な機会」とし、「社会の中にあるバリアを減らしていくことや、発想の転換が必要であることにも気づきをもたらす」とする。心しておきたい。

 会場となる首都圏では、ハード面のバリアフリー化が進んでいる。政府は五輪・パラリンピックに向け「ユニバーサルデザイン2020行動計画」を策定。公共交通の事業者に、障害者や高齢者が利用しやすいよう段差の解消やホームドア設置などの計画作成を義務付けた。客室総数50室以上のホテルや旅館を造る際は、車いす利用者用の客室の割合を1%以上にすることなどを求めている。

 五輪・パラリンピックが、政府の掲げる「誰もが自由に移動できる社会」の実現に資すると同時に、健常者と障害者を隔てる「見えない壁」を取りはらう心のバリアフリー化を進める機会となることも期待したい。

 共同通信が全国の障害者を対象に実施したアンケートでは、「最近、障害を理由に周囲の言動で差別を受けたり感じたりしたことがあるか」との質問に36%が「ある」と回答した。そうした社会の状況や障害者を取り巻く環境が変わる契機にしなければ、大会の意義や真の価値は損なわれてしまう。

 アンケートでは、東京パラリンピックが「障害者への理解につながる」との回答が62%に上った。アスリートの活躍や大会の盛り上がりによって関心が高まり、障害者への差別や偏見の解消が進むことを期待する声がある一方、「一時的な盛り上がりで終わり、関心は続かない」「日常的に障害者と接する機会がないと理解は生まれない」といった声もあり、大会が一過性の盛り上がりに終わることへの懸念も根強い。

 パラリンピックは近年、競技性が一段と高まり、活躍したアスリートにはオリンピックにひけをとらないほど脚光が集まるようになった。障害者スポーツ普及の観点から歓迎すべきだろう。東京大会を一時的なお祭り騒ぎに終わらせず、障害者スポーツへの理解を一層深める機会にしたい。