全国知事会 地方創生実現へ存在感を

7月27日 09:21

 都道府県知事が一堂に会する全国知事会議が富山市で開かれた。最終日に採択した「富山宣言」は、政府が進める重要政策の地方創生について「実現は道半ば」であると指摘し、企業の本社機能移転の税制誘導や、移住・定住促進の財政支援で東京一極集中を是正するよう提言した。

 地方創生は、東京一極集中を是正し地方に活力をもたらそうと、安倍政権が2014年に打ち出した目玉政策。本年度が第1期の最終年度となる。

 しかし、東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)の昨年の転入超過は13万9千人。一昨年の12万5千人から拡大した。地方の人口減少が加速する中、進学や就職を機に若者の流入が続き、是正には程遠い。政府は東京圏の転入超過を20年までに解消する目標の先送りに追い込まれた。

 富山宣言は、東京が日本の経済成長のけん引役や国際都市として発展することへの期待感も示し、地方とのバランスも取った。しかし、地方税の財源を巡っては大都市と地方の対立が露呈した。

 税源の一極集中是正も加速させるとした提言案に対し、東京都の小池百合子知事が「地方創生が東京一極集中の是正のみを目的としていると受け止められかねない」として削除を強く要求。賛同する知事も複数おり、提言案は修正されたが、しこりが残った。

 地方税に関し、知事会には大都市への偏在の是正を求める意見が以前からあり、東京都が反発していた。地方の財政難は深刻だが、自治体間で財源を取り合うだけでは根本的な解決にはならず、地方が担う事務に応じた財源確保を国に主張すべきだ。対立を繰り返すのではなく、共存共栄していく道を見いだすために建設的な議論を期待したい。

 地方分権一括法が00年に施行されて、国と地方の関係は「上下・主従」から「対等・協力」へと変わった。同時に全国知事会は、「闘う知事会」を掲げて政府と折衝し、税源移譲などを勝ち取ってきた。しかしその後、地方交付税の削減などによって自治体の力は低下。最近の知事会は「陳情組織に後戻りした」という厳しい声もある。

 地方創生事業で国は新たな交付金を創設したが、自治体は総合戦略を策定することが求められる。それによってアイデアを競わせ、国が交付金を配分する仕組みで、その目的とは裏腹に中央集権的手法と言わざるを得ない。

 第1期5年間の成果は乏しい。第2期を迎えるにあたっては、この間の施策がなぜ奏功しなかったのか徹底検証し、見直す作業が欠かせまい。

 東京一極集中や人口減少は国の積年の政策のつけであり、地方の努力だけでは改革はおぼつかない。だからこそ、知事会は存在感を示して、しっかりと国に対して、提言した施策の実行を迫るべきだ。国との対峙[たいじ]も辞さない気概を持ち、地方創生をリードしてもらいたい。