3月19日付

3月19日 09:25

 NHK大河ドラマ「いだてん」では、日本の五輪初参加をけん引した嘉納治五郎・大日本体育協会長が資金繰りに困窮している様子が描かれていた。政府に援助を断られ、自身も清国からの留学生を救うため巨額の借金をしていた嘉納は、選手たちに自費での出場を頼む▼講道館柔道の創始者として知られる嘉納は、旧制五高校長も務めた熊本とゆかり深い人物。役所広司さんが演じる情熱的かつ清廉な姿に心打たれた方も多かろう▼その嘉納が初代会長を務めた日本オリンピック協会(JOC)が今、大揺れに揺れている。2020年東京五輪招致を巡り、竹田恒和会長の贈賄疑惑が浮上。本人は潔白を主張しているものの大会への影響を懸念する声はやまず、きょうの理事会で退任の意向を表明する見通しとなった▼背景には、スポーツ界のパワハラや金銭問題などの不祥事続発に端を発した競技団体の統治強化の流れもあるという。現在71歳の竹田氏に「役員選任時70歳未満」との規定を曲げて11期目を任せることへの批判もある▼開幕まで500日を切った中のゴタゴタに不安は尽きない。それでも56年ぶりの東京大会に憂いを残さないためには体制一新が必要ということだろう。すべての国が納得するフェアなスポーツの祭典であってほしい▼それにしても、後任の会長候補に全日本柔道連盟の山下泰裕会長ら、熊本ゆかりの人々の名前が挙がっているのは何かの因縁だろうか。泉下の嘉納翁や金栗四三さんも、きっと後押ししているに違いない。