<PR>玉山銀行(台湾)が「熊本出張所」を10月23日に開設
台湾の有力銀行・玉山銀行が10月23日(水)、熊本市に熊本出張所を開設しました。九州では福岡支店に続く2番目の拠点で、地域経済への貢献が期待されます。熊本出張所開設の目的や地場企業への金融サービスなどについて、毛利聖一・熊本日日新聞社業務局長が玉山銀行の黃男州董事長、久保敏也福岡支店長、山崎辰也熊本出張所所長に聞きました。
玉山銀行福岡支店開業以来の業務の成果と方向性
黃男州董事長 玉山銀行は、2017年に東京支店を設立しました。その後、九州と台湾の貿易や投資がより緊密になっていることを受け、23年に九州最大の都市である福岡に2番目の支店を置くことになりました。さらに昨年から九州市場全体の景気が上昇していることに加え、TSMCの熊本進出に伴い関連企業などが盛んに九州に拠点を設立しており、これを弊社にとっての好機と捉え、10月23日(水)に熊本出張所を開設することになりました。今後、TSMCは現在の第1工場に加えて第2工場も熊本に建設し、関連する台湾のサプライチェーンや日本の半導体関連企業がさらに進出することが予想されます。そうした企業への融資や金融サービスの提供を通じて、企業や地域の発展を支援していきたいと考えています。
久保敏也支店長 昨年7月に福岡支店を開業して以降、ビジネス分野はもちろん、文化・芸術・スポーツ分野での地域貢献も含め、九州と台湾の架け橋としての活動を地道に積み重ねてきた結果、ようやく福岡では「玉山銀行」の知名度も上がってきていると感じています。その一方で、熊本ではTSMCの進出に伴い、台湾への関心度が急速に高まっています。例えば、熊本の企業の集まりなどに参加すると「台湾のこと、台湾の企業のことをもっと知りたい」という声をたくさんいただきます。それだけではなく、台湾の半導体関連の製造業をはじめとするサプライチェーンの企業からも、熊本への投資に関する問い合わせが非常に増えており、台湾の個人投資家からも「熊本で不動産を購入したい」などというニーズが高まっています。その結果、福岡支店では、法人、個人ともに、順調に資産を積み上げている状況です。地域起業など企業間の連携促進では、23年12月に鹿児島銀行、肥後銀行と共同で宮崎県内の飲食店グループの協調融資を実施したほか、今年7月には熊本県、肥後銀行、熊本大学と共同で次世代ベンチャーコンテスト「第9回熊本テックプラングランプリ」を開催し、地域起業の促進やビジネスネットワークの構築を支援しました。今後も玉山銀行は、地域の産官学と協力し、台湾と日本におけるネットワークやサービスの強みを生かし、製造業やサービス業、イノベーション産業で二国間交流をさらに強化していきます。
熊本出張所で提供する企業支援などについて
黃男州董事長 新たに開設する熊本出張所は、九州フィナンシャルグループ(KFG)本社ビルの3階にあります。JR熊本駅から徒歩4分の立地で非常に便利です。出張所のインテリアには「空間にアートを取り入れる」という創業者の理念を継承し、九州と台湾のアート作品を展示しています。熊本出張所では企業向け融資をはじめとするさまざまな金融サービスを提供する予定です。特に、台湾から進出するサプライチェーンに対する支援に注力する予定で、さまざまな投資情報を集めて台湾の顧客企業に提供していきたいと考えています。先日は、木村敬熊本県知事と中垣内隆久熊本市副市長とお会いし、両氏から「熊本県、熊本市も国際金融機能の能力を向上させたい」との話がありました。今後、私たちが金融・投資を通じて熊本と台湾との架け橋になれればと思っています。
山崎辰也所長 九州には優れた技術や高品質な製品、素晴らしいサービスを提供している中小企業が多くあることは、台湾でもよく知られています。加えて、台湾と九州は地理的にも近いため、九州をはじめとする日本国内の企業が海外に販路を求めるとき、真っ先に名前が出てくるのが「台湾」です。相互の文化理解も進んでいますし、台湾人は日本製品がとても好きです。そのため玉山銀行では、九州の企業が「台湾に進出したい」となった場合には、日本語のできる専門スタッフを配した専用窓口を用意し、口座開設や進出のサポートといった各種相談を承っています。熊本では出張所開設に先立ち、熊本市と肥後銀行とのMOU(基本合意書)を締結しました。今後、台湾に進出を検討している熊本の企業に対しては、MOU提携先と連携して、サポートをしていきたいと考えています。また、9月5日には九州フィナンシャルグループの肥後銀行、鹿児島銀行と玉山銀行が共同で、「九州の逸品商談会in台湾」を当行第2本店ビルで開催し、日台合わせて50社近くの企業が参加しました。この商談会は肥後銀行や鹿児島銀行のお取引先が九州の特産品を出品し、台湾の企業やバイヤーに対してビジネスマッチングを図るというものです。3行が共同で行うことでスムーズなマッチングをお手伝いすることができました。今後もこうした取り組みを通じて、熊本の企業の台湾進出をサポートできるのではないかと思っています。
玉山銀行と熊本との「MOU」締結の効果
黃男州董事長 熊本は観光地としても台湾人に人気です。今年の上半期、熊本を訪れた外国人観光客の約4分の1が台湾人で、熊本と台湾との関係がさらに深まっていると感じます。そうした旅行需要の高まりに応えるため、玉山銀行では熊本県のPRマスコットキャラクター「くまモン」をデザインにあしらったクレジットカードを作り、現在までに30万枚を発行しています。日本を旅行する際の割引特典などがあることから、台湾人旅行者の間では〝神カード”と呼ばれるほどの人気で、今後は100万枚発行を目指しています。クレジットカードだけでなくPayPayとも提携し、台湾からの訪日観光客がキャッシュレスで買い物などを楽しめるように努めています。
山崎所長 台湾人は旅行が大好きです。グルメや観光スポットだけでなく、日本での買い物も好きです。観光庁が発表した「2023年訪日外国人消費動向調査」によれば、訪日外国人消費額の第1位が台湾で、7835億円と全体の14・8%を占めました。今年4月に玉山銀行は、熊本市とMOUを締結しましたが、これは熊本市が海外企業と締結した初めてのMOUです。この協定に基づき、今後、熊本・台湾双方で観光やスポーツ、文化分野での交流促進が図られることを期待しています。また、玉山銀行の公式サイトでは、台湾の方々に向けて熊本の観光をPRしています。FacebookやInstagramの公式アカウントでも、熊本城や水前寺公園などの観光スポットのほか、太平燕やラーメンといったグルメを紹介するなど、熊本の情報を積極的に発信しています。
台湾のすばらしさを熊本の方にアピール
黃男州董事長 台湾と九州とのアクセスは近年とても便利となり、福岡や熊本だけでなく、鹿児島からも直行便が就航しています。 台北101や九份老街、平渓のスカイランタンなどの観光スポットに加え、小籠包やタピオカミルクティーなどのグルメも充実しています。ほかにも、台湾にはじっくりと散策する価値のあるユニークな場所がたくさんあります。例えば、嘉義阿里山鉄道は森林鉄道、登山鉄道、高山鉄道という3つの特徴を兼ね備えています。100年前から使われている古い蒸気機関車に乗り、標高30㍍の嘉義市内から標高2216㍍の阿里山まで一気に登り、高温帯、暖温帯、温帯など異なる森林帯の植物を見られるほか、美しい山並みや渓谷を楽しむことができます。また、親切でフレンドリーな人々も、台湾の魅力の一つです。 そうしたさまざまな魅力を満喫するために、ぜひ台湾一周をおすすめします。交通手段は、レンタカーはもちろん、鉄道や自転車での周遊も可能です。台北を1000キロの道のりに沿って、にぎやかな都市、青い海岸線、緑の山々など、台湾の美しさを堪能することができます。
金融サービス以外の文化交流について
黃男州董事長 九州に、福岡と熊本という2つの拠点を置くにあたっては、単に金融サービスを提供するだけではなく、文化、芸術、スポーツ分野での交流も深めていきたいと考えています。その一つは、日本のプロ野球球団と提携して5年前から行っている「台湾デー」です。野球は、日本でも台湾でも人気のあるスポーツで、お互いのプロリーグでの選手の交流なども盛んです。これまで北海道日本ハムファイターズ、埼玉西武ライオンズとコラボしましたが、今年は福岡ソフトバンクホークスと提携して6月に「台湾デー」を実施しました。イベントでは、台湾の観光地や文化を紹介したほか、グッズも配布して多くの皆さまに台湾を知ってもらう良い機会になりました。また、芸術分野では、昨年6月にアクロス福岡シンフォニーホールで「日台友好コンサート 心の絆」を福岡県、福岡市と共催しました。玉山合唱団、筑紫女学園高校コーラス部、姪浜中学校吹奏楽部が出演し、1700人以上の観客が訪れて大成功を収めました。さらに、福岡市で毎年開催されている「アートフェアアジア福岡(AFAF)」に2年連続で協賛し、台湾の芸術作品を出展できるよう努めてきました。今年は、台湾と日本の画家に同じテーマで作品を制作してもらい、互いの交流を深めました。熊本でも、来年2月に開催される「熊本城マラソン2025」のスポンサーになることが決定しています。こうしたさまざまな取り組みを通じて、台湾と日本との絆をもっと深めていければと思います。
相互に理解を深めて良好な関係を築きたい
久保支店長 現在、九州ではTSMCの熊本進出に伴う半導体関連産業を中心としたビジネスチャンスが大きなトピックとなっています。しかし、そうした経済だけの結びつきでは、日台の関係は先細りしてしまう可能性があります。文化・芸術やスポーツなどの交流を通じ、互いの国民性や歴史、伝統などを理解し合うという根底があってこそ、初めてビジネスが長期にわたって良好な関係を築くことができるのではと考えています。九州と台湾の人々が心と心とで触れ合い、今よりももっと深い部分でつながり合うお手伝いをすることが、玉山銀行の使命だと感じています。
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