八代港の経済効果2215億円 貨物取り扱いで50%は八代市に波及 国交省など、21年分を初調査
国土交通省九州地方整備局は、八代港の貨物取り扱いなどによる経済効果が2021年の1年間で2215億円に上ったとする初の調査結果を公表した。波及先は、50・5%の1119億円が八代市内で、八代市を除く熊本県内が35・2%の781億円。県内への波及は8割を超えており、国交省は「地域の雇用や経済活動に対する貢献は大きい」としている。
調査は九州内の港湾整備の意義を知ってもらおうと、国交省と大学教授らの有識者が共同で実施。国や県が集計している八代港の港湾統計データや、総務省がまとめる産業連関表などを活用して分析した。
調査によると、21年は年間1900隻超の船舶が入港。建築資材などに使う原木や家畜用飼料の原料となる穀物、製紙原料の木材チップといった輸出入で、420万トンの貨物を取り扱った。
港がない場合との比較で①船舶や取り扱う貨物に関連する産業の生産増などで1515億円②生産増に伴う原材料の調達や関連産業への波及で500億円③従業員の所得増大による消費の拡大で201億円─の効果がある、と試算した。
国交省によると、八代市内への経済効果は関連産業の生産増によるものが大半で、貨物の多くを八代市内の企業などが取り扱ったという。市内への経済効果1119億円は、市内の総生産額4373億円の約26%に当たる。
クルーズ船が寄港した場合は、1隻当たり8200万円の経済効果が期待できるとも指摘した。ただ、21年は新型コロナウイルスの影響でクルーズ船の寄港が激減したため、今回の調査には、クルーズ船による効果は含まれていない。
九州地方整備局港湾空港部は「コロナ禍が終わり、貨物船、クルーズ船ともに寄港回数は増加傾向だ。今後はさらなる経済効果が見込める」としている。(嶋田昇平)
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