熊本市内の緑スポット、3年ぶりに〝復活〟 監物台樹木園が25日に再開【みどりの月間特集】

熊本日日新聞 2024年4月16日 06:05

 新緑がまぶしく、絶好のおでかけシーズンを迎えた。15日から5月14日は「みどりの月間」。誰でも気軽に足を運べる熊本市内の緑のスポットを紹介する。身近な自然に包まれて、心身をリフレッシュしよう。

 監物台樹木園(熊本市中央区)  四季折々の草花、気軽に 25日に3年ぶり再開

25日に再開する監物台樹木園の見所を清水咲彩記者(右)に案内する池水寛治さん。4月下旬はツツジやフジが見頃という=熊本市中央区(上杉勇太)
25日に再開する監物台樹木園の見所を清水咲彩記者(右)に案内する池水寛治さん。4月下旬はツツジやフジが見頃という=熊本市中央区(上杉勇太)

 熊本城北側の一角にある「監物台[けんもつだい]樹木園」(熊本市中央区)はサクラやウメ、キンモクセイなど四季折々の草花を気軽に楽しめる街中スポットだ。熊本地震で被災した監物櫓[やぐら](国重要文化財)の復旧工事のため休園していたものの、25日に3年ぶりに再開。入園料は無料になり、市民の緑のオアシスが復活する。

 4月初旬。再開を控えた樹木園の門をくぐると、入り口にはソテツが並び、サクラやマンサクの花が咲き誇っていた。園を運営する九州森林管理局技術普及課の池水寛治課長(54)は「こんなまちなかに、緑あふれる樹木園があるのは珍しい。のどかな時間が過ごせますよ」と笑顔で案内してくれた。

 園は、緑を愛する心を育んでもらおうと1952年に林野庁が開いた。約2・6ヘクタールの敷地に九州沖縄の樹木や草花を中心に、多種多様な植物が植えられている。ハナミズキやアジサイ、ヒガンバナなど季節ごとの草花が楽しめるのが特徴。親子スケッチ大会の会場になったり、お年寄りや幼稚園児が散歩で訪れたりと幅広い世代に親しまれてきた。

新しくなったベンチ。豊かな自然と熊本城天守閣(左奥)や宇土櫓の素屋根も眺めることができる(上杉勇太)
新しくなったベンチ。豊かな自然と熊本城天守閣(左奥)や宇土櫓の素屋根も眺めることができる(上杉勇太)

 熊本地震では、受付棟の壁がはがれ落ちるといった被害を受けて臨時休園。いったん再開したものの、被災した監物櫓の復旧工事に伴い、21年6月から再び休園せざるを得なかった。

 その間、職員らは再開に向けて準備を進めてきた。来園者が景色をゆっくり楽しめるように古いベンチを修繕。樹木を剪定[せんてい]し、安全面にも配慮した。

 同局は再開を機に、200円の入園料を無料にする。以前は月によって開園日にばらつきがあったが、25日以降は原則第2、4週の土日と第1、3週の水曜日に限定する。

 4月下旬からはフジやサツキ、ツツジが見頃を迎える。中でも見どころは中央に位置する藤棚で、ピンクや白、紫の3色の花が競演。上品なたたずまいが来場者に人気だという。濃いピンク色が鮮やかなツツジも緑にあふれた園内に映え、見応えがある。

 「多様な樹木があり、園内からは熊本城の天守閣も見える。散策しながら緑に触れ、森林に興味を持ってもらえたら」と池水課長。5月の大型連休中は、のこぎりを使った丸太切り体験などのイベントも企画している。(清水咲彩)

熊本大薬学部の植物園(熊本市中央区) 薬用など2000種類、新たな出合い

約2千種の薬用植物が栽培されている熊本大薬学部の薬用植物園。管理する同園担当技術専門職員の渡邊将人さん(右)と助教のデブコタ・ハリさんがいとおしそうに植物をみつめていた=5日、熊本市中央区(小野宏明)
約2千種の薬用植物が栽培されている熊本大薬学部の薬用植物園。管理する同園担当技術専門職員の渡邊将人さん(右)と助教のデブコタ・ハリさんがいとおしそうに植物をみつめていた=5日、熊本市中央区(小野宏明)

 新緑あふれる熊本大の大江キャンパス(熊本市中央区)。薬用植物園では、2千種類もの植物が楽しめる知る人ぞ知る自然スポットだ。意外な薬の材料に出合えるかもしれない。

 植物園は1927年、熊本大薬学部の前身である熊本薬学専門学校の薬草園として開設。広さは約1万2千平方メートルで、旧細川藩の薬園「蕃滋園[ばんじえん]」に由来する植物も現存している。

 日頃は薬学部の学生が植物観察に利用。定期的に開催される一般向けの観察会は、多い時で80人が参加する人気のイベントだ。植物ごとに名前や効用を記したラベルがあり、添えられたQRコードをスマートフォンなどで読み込むと、より詳しい解説も見られる。

熊本大薬学部薬用植物園担当技術専門職員の渡邊将人さんが手にするアイラトビカズラの花=5日、熊本市中央区(小野宏明)
熊本大薬学部薬用植物園担当技術専門職員の渡邊将人さんが手にするアイラトビカズラの花=5日、熊本市中央区(小野宏明)

 この時期、ひときわ目を引くのはマメ科の「アイラトビカズラ」。自生地がある山鹿市から株分けされたもので、ブドウの房のように垂れ下がった紫色の花が咲く。中国では貧血やリウマチの薬に用いられるという。キク科の「カモミール」も近くで白い花をたくさん咲かせている。頭痛や風邪に効くとされ、青リンゴのような香りが広がる。蕃滋園にもあったと伝わる5種類の薬木は、植物園から少し離れたキャンパス中央にある。

 「これだけの薬用植物がそろう場所は九州でも珍しい。無料でいつでも入れるのでぜひ来てほしい」と管理する薬用植物園担当技術専門職員の渡邊将人さん(38)。薬草植物に関するイベントを企画する助教のデブコタ・ハリさん(42)も「季節ごとに違った植物を楽しめる。きっと新しい発見があるはずです」と魅力を語る。(上野史央里)

 熊本市動植物園(東区) 赤や白、バラ1000本見頃

熊本市動植物園で咲くツルバラの一種「ナニワイバラ」=2日、熊本市東区
熊本市動植物園で咲くツルバラの一種「ナニワイバラ」=2日、熊本市東区

 学校の遠足や家族連れのレジャーに人気の熊本市動植物園(熊本市東区)。植物ゾーンでは4月下旬から5月上旬に約90種、千本ものバラが見頃を迎え、年間で最も豊かな花の時期となる。

 同園は2022年春の全国都市緑化フェア(くまもと花博)に合わせて、時計台前のバラ園を約2倍の約950平方メートルに拡大。ツルが伸びて花を咲かせるツルバラの一種「ナニワイバラ」は、5センチほどのかれんな白い花を咲かせる。高さ50センチほどのバラも赤や黄、白など色鮮やか。

 「見頃になると、バラの香りでいっぱいになる」と施設植物班の山下知亜紀さん(54)。美しい花を咲かせるため、10人ほどのボランティアが枯れた花や葉をこまめに摘み取っている。

 隣の花畑では、菜の花が満開に。肥後六花の「肥後シャクヤク」や「肥後ハナショウブ」も4~5月に開花する。フジの花のほか、ひらひらとした白い花びらが特徴のカタルパも楽しめる。(横川千夏)

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