【詳報】熊本市電の延伸延期も 大西市長がスケジュール見直し表明 相次ぐ運行トラブルで安全優先
熊本市の大西一史市長は24日の定例記者会見で、2031年度の全線開通を目指している市電の延伸計画について「延期を含めてスケジュールを見直す」と表明した。相次ぐ運行トラブルを受け、安全対策を優先して取り組む必要があると判断した。
延伸区間は、東区の健軍町電停から市民病院までの「東町線」(仮称)の約1・6キロ。市は公共交通機関の利便性向上や、熊本都市圏の渋滞対策の重要事業と位置付けており、26年度に着工、31年度に全線での運行開始を計画していた。
ただ市電では昨年、2件の脱線事故を含む16件のトラブルが発生。今年に入ってもレール幅の広がりで一部区間を運休するなど、利用者への影響が続いた。こうした事態を受け、九州運輸局は22日に安全確保を求める行政指導をした。
大西市長は記者会見で一部区間の運休について陳謝し、「市電の安全対策を最優先に、市民の信頼回復に向けて強い決意で取り組む」と強調した。一方で延伸の意義や必要性は変わりないとした。
市は、27日の市議会特別委員会でスケジュールの見直しについて説明。その上で市議会が昨年9月に認めた予算案から実施設計などの関連費用4億2千万円を取り下げ、2月17日に開会する次期定例会に改めて予算案を提出することを想定している。取り下げが可決されれば、本年度中を目指していた実施設計の契約締結などは先送りになる。
市電のトラブルを受け、市は4月に予定していた新たな経営形態「上下分離方式」の導入についても1年程度の延期を決めている。(臼杵大介)
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