韓国・ハンさんが授賞式　ノーベル文学賞、アジア女性初

　【ストックホルム共同】今年のノーベル文学賞の授賞式がスウェーデンのストックホルムで１０日、開かれた。韓国の女性作家、ハン・ガン（韓江）さん（５４）にメダルを授与した。アジア人女性の受賞は初めて。選考主体のスウェーデン・アカデミーは「歴史的トラウマに立ち向かい、人間の命のはかなさをあらわにした強烈な詩的散文」を評価した。

　ハンさんは南西部・光州で１９８０年に軍が民主化を求める市民らを虐殺した「光州事件」をテーマにした小説「少年が来る」を２０１４年に発表。また２１年には、朝鮮戦争前後の軍などによる住民虐殺「４・３事件」に関する最新作「別れを告げない」を出版した。

　ストックホルムで６日行った記者会見では、韓国の尹錫悦大統領が「非常戒厳」を一時宣言して軍人を国会へ突入させたことについて「大変ショックを受けている」と述べ「権力により言論が統制された過去に戻ってはならない」と強調した。

　韓国人のノーベル文学賞受賞は初めてで、ノーベル賞全体では００年に平和賞を受賞した故金大中氏（当時大統領）に続き２人目。