16年ぶりの新市長は? 山鹿市長選、3氏出馬表明 31日投開票

熊本日日新聞 | 2021年1月7日 09:38

山鹿市役所の本庁舎。新しいトップを決める市長選には新人3人が名乗りを上げている
山鹿市役所の本庁舎。新しいトップを決める市長選には新人3人が名乗りを上げている

 任期満了に伴う熊本県山鹿市長選と市議選が24日に告示される(31日投開票)。4期目の現職が昨年9月、不出馬を表明しており、16年ぶりの新市長誕生に向け、新人3人の動向に注目が集まっている。

 立候補を予定するのは、表明順に市議会議長の永田健氏(51)、元県議の早田順一氏(54)、老人ホーム施設長の古家茂臣氏(66)。

 永田氏は、中嶋憲正市長(70)が昨年の9月定例市議会で進退を明らかにするより早く、8月12日に出馬表明。周囲に対し、現職との対決も辞さない姿勢を打ち出した。

 地元の旧鹿北町岳間地区の住民を核に、旧4町ごとの後援会や支援者のネットワークを組織。旧山鹿市でも浸透を図り、自民県連会長だった故古閑三博氏の秘書時代の人脈も武器に支持を広げる。

 旧鹿北町広見地区在住の早田氏は、中嶋市長が引退宣言した直後の昨年9月4日に立候補を表明した。前回の市長選では、政治手腕を評価する中嶋市長との対決を避け出馬を見送った経緯があり、今回もぎりぎりまで表明を待った。

 旧1市4町単位の後援会に加え、かつて所属した山鹿青年会議所のOBらが精力的に活動。SNSも使い若い世代にアピールする。

 昨年11月1日に出馬表明した元県職員の古家氏は、3回連続の市長選出馬。現職と一対一だった過去2回と構図が変わり、市議選への出馬も検討したが初志を貫くことにした。

 旧鹿北町が地盤の永田、早田両氏に対し、大票田の旧山鹿市出身の強みを生かし票の取り込みを狙う。経営する老人ホームがある地域の区長をはじめ、今回は農業関係団体の支持も取り付けた。

 3人はともに保守系で、自民県連はいずれも推薦しない構え。県連山鹿市支部の関係者は、年内の衆院選を見据え「戦うときは激しく戦い、終わったらノーサイドだ」と、市長選後にしこりを残さぬよう気を配る。

 現職の中嶋市長も「後継指名しない」と明言し、後援会も表だった動きはないが、一部の幹部は早田氏支持を打ち出している。一方、永田陣営には蒲島郁夫知事の有力支援者が名を連ねる。

 16年ぶりの新市長誕生に市民の関心は高まるが、業界団体の多くは中立の立場。3新人とも推薦した山鹿商工連政治連盟代表の宮田正高山鹿商工会議所会頭は「政策の違いが見えにくい。選挙後を考えると、組織として特定候補の支持には動きにくい」と明かす。一方、現職市議の間では永田、早田両氏の支持がほぼ拮抗[きっこう]している。

 市議選(定数20)では、立候補予定者説明会に現職9、新人11陣営が出席。選挙戦になるかどうかに注目が集まっている。(河内正一郎)