水俣病、補償ランク変更 患者の渡辺さん病状進行で

熊本日日新聞 | 2020年12月25日 09:31

記者会見する水俣病患者の渡辺栄一さん(左)。隣は支援者の加藤タケ子事務局長=24日、水俣市
記者会見する水俣病患者の渡辺栄一さん(左)。隣は支援者の加藤タケ子事務局長=24日、水俣市

 水俣病患者の渡辺栄一さん(68)=水俣市=が24日、原因企業チッソとの補償協定に基づく補償ランクが上がったと明らかにした。支援者は、ランク変更による増額が認められない患者がいる現状を踏まえ、「病状に応じた変更は患者の権利だ」と強調した。

 補償ランクはA~Cの3段階あり、慰謝料(1800万~1600万円)や終身特別調整手当(月額18万1千~7万3千円)などの額が異なる。

 渡辺さんは5歳で発症した小児性患者。1970年にCランクの協定を結び、2001年には知的障害が考慮されてBランクになった。その後、歩行困難になり、10年にAランクへの変更を申請したが、却下された。

 発声や手の障害も進行。「胎児性小児性患者・家族・支援者の会」が9月、水俣病患者補償ランク付委員会に再申請し、18日付で認められた。ただ、変更理由は示されず、渡辺さんは「うれしいやら悲しいやら。複雑な気持ち」と語った。

 支援者の会は、他の2人のランク変更も支援。加藤タケ子事務局長(70)は「水俣病は認定されて終わりじゃないと知ってほしい」と訴えた。似たような症状で認められないケースもあるとして、同委に対し、「判断基準を示すべきだ」と求めた。(石本智)