「水俣病検診、誤りない」 互助会訴訟で審査会医師 熊本地裁

熊本日日新聞 | 2020年12月22日 10:07

弁論を前に熊本地裁前で集会を開く水俣病被害者互助会の佐藤英樹原告団長(右)ら=21日、熊本市中央区
弁論を前に熊本地裁前で集会を開く水俣病被害者互助会の佐藤英樹原告団長(右)ら=21日、熊本市中央区

 水俣病の胎児性患者らと世代が重なる水俣病被害者互助会の7人が行政による患者認定を求めた訴訟は21日、熊本地裁で被告側証人の尋問があり、熊本県公害健康被害認定審査会の委員と県幹部が審査会や検診の正当性を主張した。

 審査会副会長で神経内科医の内野誠氏(71)は「神経内科の専門医が統一された基準で先入観を持たずに検診している」と説明。原告側は、審査会が決めた検診手法や結果の審査方法と、現実の運用に矛盾があると指摘し、病像から見て「手や足の先だけでなく、顔周辺の感覚検診をすべきではないか」と質問。内野氏は「現行の検診や審査で誤りはない」と強調した。

 原告側は、検診の信頼性を担保するため、裁判で検診医の氏名公表を訴えている。前県水俣病審査課長で現新産業振興局長の三輪孝之氏(56)は「検診医の氏名は公表できない。過去に個人が特定され、患者団体などから本人が抗議されたことがあるからだ」と説明した。(堀江利雅)