川辺川流水型ダム調査費に1億8千万円 21年度政府予算案、規模・候補地を検討

熊本日日新聞 | 2020年12月22日 15:58

 国土交通省は、7月熊本豪雨で氾濫した球磨川の支流・川辺川に新設する流水型ダムの調査費を盛り込んだ。2009年に民主党政権が建設中止した後も毎年確保してきた川辺川ダム事業関連費を21年度は5億5500万円とし、このうち流水型の調査に1億8千万円を充てる。

 現行計画に基づく川辺川ダム事業関連費は、建設予定地の相良村にある砂防事務所の維持管理がメインだった。同関連費は20年度当初予算から1億2300万円の増額。

 流水型ダムの調査費は、ダム本体の大きさや高さ、総貯水量といった規模や構造、建設候補地の検討に充てるほか、候補地周辺の環境調査も実施する。

 7月豪雨関連ではこのほか、球磨川流域治水の推進費などに1719億円を計上。同省や県、流域市町村でつくる球磨川流域治水協議会が本年度中にまとめる治水メニューを踏まえて事業内容を決める。協議会では、流水型ダムのほか、遊水地整備や河床掘削、川幅を広げる引堤などの案が出ている。

 道路や橋など被災したインフラ設備の復旧関係費として502億円も盛り込んだ。

 球磨川治水対策を巡っては、蒲島郁夫知事が11月、流水型ダムを柱としたハード、ソフト対策を総動員した流域治水に取り組むよう赤羽一嘉国交相に要請。これを踏まえ、同省は洪水調節が効率的にできるゲート付き流水型ダムの検討を進めている。(嶋田昇平)