菊池事件、再審請求せず 熊本地検、元患者らに「事由なし」

熊本日日新聞 | 2021年1月27日 09:52

 ハンセン病患者とされた男性が事実上非公開の特別法廷で殺人罪に問われ、無実を訴えながらも死刑執行された「菊池事件」の再審を巡り、熊本地検は26日、「再審請求できないと判断した」と明らかにした。

 菊池事件を巡っては、元患者らが提訴した国賠訴訟で昨年3月、特別法廷での審理を「違憲」とする熊本地裁判決が確定した。これを受け、元患者らは「違憲の手続きは再審事由になる」と指摘。ハンセン病の根強い差別から男性の遺族による再審請求が困難なため、昨年7月、検察官による再審請求を求める要請書を地検に提出。翌8月末までの回答を求めていた。

 地検は今月25日、元患者らの弁護団に「改めて慎重に検討して再審請求すべき事由がないと判断した。熊本地裁判決も『再審事由があると認めることは困難』とした」と回答。弁護団は「検察庁が誤りを自ら是正することを拒んだ。公益の代表者としての責務の放棄だ」と批判した。

 弁護団は、期限までに地検の回答がなかったとして、全国から募った1205人の請求人による再審請求書を昨年11月に熊本地裁に提出している。(國崎千晶、澤本麻里子)