新聞で世界とつながろう 自らの興味、情報と関連づけて 「いまを開き 未来を拓く NIE」宮崎市で全国大会

2022年9月12日 10:01

 「NIEで、学びを切り拓[ひら]く」。学校現場などで新聞記事を活用する「NIE(教育に新聞を)」の全国大会(日本新聞協会主催、宮崎日日新聞社など主管)が8月4、5の両日、宮崎市で開かれ、全国の新聞・教育関係者ら約1100人が意見を交わした。新型コロナウイルスの影響で昨年、一昨年はオンライン開催となり、3年ぶりの対面開催。参加した県内の教育関係者の感想を交え、大会の模様を報告する。

 スローガンは「いまを開き 未来を拓く NIE」。初日の全体会では、宮崎県NIE教育推進委員会の田上幸雅委員長が基調提案。「大量の知識を覚えるより、ファクト(事実)やエビデンス(根拠)をもとに思考し、判断、表現することが求められる時代だ。NIEが教育に果たす役割は大きい」と強調した。

 「NIEで伸びる力、伸ばす力」と題したパネルディスカッションには、6人が登壇。宮崎大の新地辰朗副学長は「これからの新聞活用は、気付いたことをもとに、いかに自分の学びを切り拓いていくかが求められる。興味をほかの情報と関連づけて考える力を伸ばすためにも新聞は重要なメディア」と指摘した。

 宮崎西高付属中の木幡佳子指導教諭は、社会科の授業で、全校生徒が取り組む新聞記事のスクラップを紹介。「社会とかかわるためには学校だけでは限界がある。新聞であれば、日本、世界中とつながることができる有効なアイテムだ」と説明した。同中の卒業生で、3年間スクラップを続けた宮崎西高1年の高村心花さんは「それぞれが自由に取り組むことができるので大変ではない。最初は記事の要約だけだったが、3年になって自分の意見も書けるようになった」と、効果を語った。

 このほか、パネリストからは「記者を活用して、情報収集力や整理力などを学ぶべき」「NIEの取り組みを続けるためにはがんばらないことも大切だ」などの意見が相次いだ。

 リチウムイオン電池の開発に携わり、2019年にノーベル化学賞を受賞した旭化成名誉フェローの吉野彰さんの講演もあった。ノーベル化学賞を受賞した理由として、電池がモバイルIT社会の実現に貢献し、今後の持続可能な社会づくりに役立つことが期待される点を挙げた。

 また、若者たちに対して、「一生懸命に勉強や研究に取り組む絶好のチャンスがどの人にも与えられている。ギャップを埋めるのはみなさんです」と呼びかけた。

 5日は、宮崎県国富町立本庄中の社会科「身近な地域の調査」など、13の公開授業や実践発表があり、工夫を凝らした取り組みに注目が集まった。来年の全国大会は愛媛県松山市で開かれる。(藤山裕作)

民主主義を学ぶ機会 玉名高 東郷一彦教諭
 分科会「パブリック・ディベート・令和の新聞購読率低下を救え!~未成年の私たちからの提案~」を見学。宮崎西高付属中の教諭の指導で、中学生と高校生が新聞購読率低下の対策をチームごとに立案するもので、中高一貫校の特色を生かし互いに新聞の長所、短所を指摘し、参観者が評価する斬新な実践だった。大会全体を通してNIEを「民主主義を学ぶ機会」と位置付けているのが印象的だった。

社会との距離縮める 東稜高 豊田慎一郎教諭
 本大会では「社会とつながる」という言葉を多く耳にした。「社会とつながる」とは、自分とは別世界の誰かが自分とは無関係に社会を動かしている「ニュース」を知ることではない。さまざまな生活者で社会が成り立っていることを知り、自分も社会を構成する一員であるという実感を持つこと。新聞の身近な記事を読み、思いを深めることは、個人と社会の間に感じる心理的距離を縮めていくことにもつながると感じた。

アウトプットを充実 飯野小 島田美彦校長
 宮崎県の日之影町立日之影小学校の実践発表「心と心をつなぎ、生きる力を蓄えるNIE」を見学した。学校現場の大きな課題の一つである「思考力・判断力・表現力」を育む取り組みでは、日常生活で考えたことや判断したことを新聞へ投稿しているとのこと。「担任一人ではなく、学校全体で取り組むことが必要」とも。総合的な学習の時間等を活用した壁新聞の作成など、インプットからアウトプットへの学力充実の視点が印象的だった。

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