「くまTOMO」に新聞経営賞 紙面づくりと学びを融合 

10月15日 10:43

フライトドクター(右)からドクターヘリの設備について説明を受けるTOMOサポたち=2019年8月、熊本市東区
画面越しに休校中の子どもたちに呼び掛ける「くまTOMO」の担当者=3月、熊日本社
くまTOMOで連載中の「ASO生きものがたり」を題材に作った動画を視聴する高森町の小中学生=5月

 2020年度の新聞経営賞に、熊本日日新聞社の「小中学生新聞『くまTOMO』の登録会員とICTを活用した取り組み」(代表 今村浩編集局読者・新聞学習センター長)が選ばれた。熊本の未来を担う子どもたちに、新たな「学び」を提供する挑戦。新聞週間に合わせ、取り組みの柱と成果を紹介する。

小中学生がサポーター 3年間で4.5倍

 「くまTOMO」の歩みで欠かせないのが「くまTOMOサポーター(TOMOサポ)」の会員制度。県内の小中学生4637人が登録(9月末現在)。体験イベントに参加したり投稿したり、双方向性の紙面づくりに一役買っている。

 最大の特徴は、小学1年から中学3年まで最長9年間という登録期間。会員数は2017年に千人、19年に2500人を突破。この3年間で4・5倍に急増した。

 プロ野球ソフトバンクホークスの選手を守備位置で出迎える「オンユアマークス」をはじめ、ドクターヘリ見学会など年間を通したサポーター向けのイベントを開催。県内の小中学校の8割以上が学校連絡などに利用する「学校安心メール」も利用して、幅広く参加を募っている。

 会員が写真付きで投稿する「TOMOサポリポート」は、紙面の人気コーナー。子どもたちからは「友達から新聞見たよ、と言われてうれしかった」「文章を書くのが上手になった」などの声も。

 毎週のように投稿を送ってくれたり、イベントで実際に会ったりして、名前を見れば顔が浮かぶ子も少なくない。これからも「楽しくて役立つ紙面」を、小中学生に届けたい。(西山美香)

休校中にオンライン授業 情報通信技術を活用

 「みんな家でどうやって過ごしてる?」。3月、熊日本社の会議室。画面の向こうには新型コロナウイルスによる休校で、自宅で過ごす約100人の小中学生。新聞活用法や理科の実験などを盛り込んだオンライン授業が始まった。

 「主体的・対話的で深い学び」を柱に小学校を皮切りに始まった新学習指導要領や、導入が進むタブレット端末…。情報通信技術(ICT)を活用した教育の在り方に視線が注がれる中、新聞は何ができるのかを考え、オンライン授業にたどりついた。

 熊日内にある新聞博物館と高森町立高森中を結んだ授業をしたのが2019年5月。以降も球磨村立一勝地小などで授業を行い、“経験値”を重ねた。20年1月には約千キロ離れた国立天文台との遠隔授業が実現した。スクリーン越しに天文台の研究者が手を振ると会場は大盛り上がり。天文学と暦の関係を学んだ子どもたちは、次々と質問を投げかけた。

 ICTを通じ、熊日が持つコンテンツ力と伝える力をどうやって地域に還元したらいいのだろう。コロナ禍で見直しを迫られている教育の在り方を目の当たりにすればするほど、思いは強まるばかりだ。(鹿本成人、濱田耕一郎)

タブレット図書館 記事配信、自宅学習にも

 記事や情報など地方紙の強みを教育現場にどのように提供していくか-。14日、高森町の小中学校で始まった「タブレット図書館」(電子ライブラリー)事業。電子書籍をはじめ、本紙の記事や出版物などをデジタル配信しタブレット端末で読んでもらう仕組みだ。約450人の児童生徒が同時に同じ書籍を閲読でき、授業での利用も念頭に置いている。

 構想が動き出したのは2019年春。教育現場の情報通信技術(ICT)を活用し、コストを抑えた図書館整備を探る高森町との協議が始まった。20年1月、町、町教委、熊日の3者で包括連携協定を結んだ。紙面を活用し、人口減少や情報格差など地域課題の解決に貢献する狙いがあった。

 新型コロナウイルスによる休校中は、阿蘇を舞台に連載中の「ASO生きものがたり」の解説動画を制作。町内児童らの自宅学習用に提供し、「楽しく学べる」と好評だった。

 「くまTOMO」の記事や写真を活用した教材研究も進んでおり、楽しく学べる工夫を凝らしている。今後は、水俣病など熊日が長年報道してきたテーマを題材に、環境学習などに役立てるコンテンツも提供する予定だ。(藤山裕作、林田貴広)