県の緊急事態宣言 対象地域と同等の支援を

01月15日 09:20

 新型コロナウイルス対策として県が独自の緊急事態宣言に踏み切った。2月7日までを期限に、飲食店の営業や県民の行動に一定の制限を求めるものだが、感染拡大の抑止のためにはやむを得ない措置だろう。できるだけ短期間で成果を上げ、県民の不安を早期に解消したい。

 対策の中身は、コロナ特措法に基づく国の指針(基本的対処方針)に準じている。政府は熊本をはじめ自主的に宣言を出した地域にも、法による宣言対象地域(東京など11都府県)と同等の財政支援をすべきだ。

 県の宣言は、11都府県と同じく会食対策を中心に据えた。昨年末以降、熊本市中心街に限っていた飲食店への営業時間短縮要請を、県内全域に拡大。午後10時までとしていた時間も、午後8時までに早める。県民一般に不要不急の外出自粛を求め、とりわけ午後8時以降の徹底を呼び掛ける。さらに各職場でのテレワークと時差出勤を推進し、イベントの参加人数制限も強化した。

 要請に応じた飲食店に対し、県は従来通り1日4万円の協力金を用意する。ただし、政府は緊急事態対象地域の協力金を上限6万円に増額した。菅義偉首相は13日の記者会見で、対象外でも宣言に準じた対策を取れば同じ支援をすると強調した。その方針どおり、熊本などに向けても財政支援をすぐに具体化すべきだ。熊本、宮崎、沖縄の3県は、飲食店の取引先にも対象地域と同様に一時金を給付するよう政府に要望している。

 感染が急拡大した熊本県では、コロナ専用病床の稼働率が13日時点で62・6%、重症者用で33・9%になった。中でも熊本市では全体で92・5%、重症者用で34・5%(11日時点)まで逼迫[ひっぱく]。大西一史市長は10日に「医療非常事態宣言」を出し危機感を強めていた。

 蒲島郁夫知事は西村康稔経済再生担当相と電話で協議したが、重症者用稼働率がステージ4(爆発的感染拡大)の指標に達していないことなどから、宣言適用の判断が示されなかったという。しかし国の対応が後手後手に回っている現状を考えれば、県独自にでも対策強化は不可欠だったろう。

 知事は既に昨年末から一部県外への移動自粛を求めてきた。今回宣言対象となった福岡県など、改めて隣接県で足並みをそろえ対策に当たる必要がある。首都圏など大都市圏の感染増は地方への影響も大きい。政府には全国での確実な抑え込みを望みたい。

 県内では飲食店のほか、高齢者福祉施設や医療機関でのクラスター(感染者集団)が顕著になっている。入所者や職員の感染拡大に歯止めがかかっておらず、これら施設での予防策の徹底も急務だ。

 長引く感染の影響下で、国民には「コロナ慣れ」が生じているとされる。しかし経済活動を早く再開するためにも、個々人のレベルで手洗いなど基本的な予防策を再度徹底したい。一方で感染者への差別や「自粛警察」的なムードにも警戒が必要だ。

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