デジタル庁 官民の力で縦割り打破を

12月25日 09:18

 政府は、来年9月に始動するデジタル庁の基本方針を決定した。官民のデジタル化をけん引する強力な権限を持った司令塔と位置付けて、中央省庁や自治体の情報システムの抜本的な改革と行政サービスの質の向上を推し進める。

 政府にとって、行政の本格的なデジタル化は2000年のIT基本法制定以来の宿願である。しかし、これまでは各省庁が個別にデジタル政策を推進してきたため重複が多く、改革の妨げとなっていた。菅政権がデジタル庁創設による縦割り行政の打破を唱えているのもそのためだ。

 デジタル庁には民間からも多くの人材を登用するという。官民の区別なく有能な人材を集め、実績を着実に積み上げてもらいたい。

 政府は2000年以降、高速インターネット網の整備などに着手。13年には「世界最先端IT国家創造宣言」を掲げた。だが、省庁を横断するような改革は実現できなかった。

 歴代政権が課題解決を先延ばしにしてきたつけは、新型コロナウイルスの感染拡大対策でも露呈した。給付金の申請手続きがうまくいかず、支給が遅れたことは記憶に新しい。すべての行政サービスは複雑化、多様化しており、利便性の高いシステムの構築は待ったなしだ。

 政府はデジタル庁に強い権限を持たせることで、省庁の壁を超えた業務を遂行させる考えだ。デジタル相は首相の下に置き、デジタル庁を内閣直属の組織とする。事務方トップの「デジタル監」は民間人を想定。4月には民間から30人程度を先行採用して、重要政策の中核を担わせる。有能な人材を確保するため、兼業やリモートワークも柔軟に認める。22年度以降は国家公務員の総合職試験にデジタル枠を設けて採用を強化する。

 始動後は、さまざまな行政サービスの基盤となるシステムを統括し、省庁や自治体のシステムの共通化などを図る。

 行政手続きのオンライン化が進めば、スマートフォンなどを使い自宅でも公的サービスが受けられるようになる。成否の鍵を握るのがマイナンバーカードの利用拡大だ。政府は22年度までに全国民のカード保有を目指しているが、普及率は2割強にとどまる。

 国民にはマイナンバー制度によって個人情報の管理が進むとの声が根強い。政府が目玉政策だったマイナンバーと金融機関口座のひも付け義務化を断念したのも、強権的と警戒されたためだ。個人情報の管理徹底をどう実現し、透明性と信頼性を確保するかが課題となろう。

 自治体の業務システムの標準化については、自治体に導入を義務付けた上で、標準化の策定を済ませている住民基本台帳から22年度に開始する。原則25年度末までに全17業務で導入させる方針だ。

 全国知事会はデジタル庁創設を評価する一方、自治体での専門職の確保への支援を求めている。地方と一体で取り組むことも忘れてはならない。

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