同一労働同一賃金 中小企業は早急に対応を

04月05日 09:23

 正社員と非正規労働者の不合理な待遇格差をなくすための「同一労働同一賃金」のルールが、今月から中小企業にも適用されるようになった。

 大企業には昨年4月から適用されたが、中小には1年の猶予が設けられていた。しかし、新型コロナウイルスの影響などもあって、十分に準備ができていない中小企業も多いとみられる。一方で、厳しい待遇の上にコロナ禍でさらに経済的な打撃を受けている非正規労働者も少なくない。企業には、非正規労働者の納得を得られるような早急な対応が求められる。

 格差是正の対象となる「待遇」には、基本給、賞与、各種手当、福利厚生、退職金などが含まれる。昨年10月の日本商工会議所の調査で、手当や退職金などの待遇改善で必要な対応を終えた中小企業は2割に満たなかった。熊本労働局の昨年11~12月の調べでは、調査対象企業の2割で通勤手当に格差があり、うち3割が理由を「説明できない」と答えた。

 同一労働同一賃金の規定には、労働者が格差の理由の説明を求めた場合、企業が応じる義務も定められている。厚生労働省の指針では、企業側は仕事内容や役割・責任のほか転勤の有無など、客観的で具体的な実態を示さなければならないとされている。「将来の役割への期待が違うから」などといった曖昧な説明は「主観的・抽象的」として認められない。

 今後は労使の対話や交渉がさらに重要となってくるとみられ、明確な説明と納得があれば雇用の安定につながるはずだ。話し合いを通じて不合理な待遇格差を洗い出し、就業規則や賃金規定を見直す好機と捉えるべきではないか。

 企業の側からは、何が不合理な待遇格差に当たるか分からないという悩みも聞かれる。労使間の認識に隔たりもあるようだ。厚労省は相談機関などとして「働き方改革推進支援センター」を各地に設けているが、熊本のセンターはこの1年「コロナ禍の影響で出張相談やセミナーを十分に開けなかった」としている。労使双方への支援や指導の取り組みを強化する必要がある。

 国の最新の経済活動調査によると、非正規労働者は国内の働き手の4割を占めている。県内の非正規労働者は23万2千人余りで、全体の38・3%に当たる。

 待遇の格差是正を進めることで、企業側には人件費が増えるとの懸念もある。しかし、待遇の改善は人材確保につながり、育児や介護との両立、定年後といった多様な働き方を求める人たちも受け入れやすくなるだろう。労働者の能力を最大限生かし、正当な対価を支払うことは、企業の生産性を高めることにもなるはずだ。

 既存の労働組合も格差是正の問題に積極的に取り組むべきだ。かねて非正規労働者の組織化、組合員化を目指していたが、正社員との待遇の差がネックとなり、なかなか進まなかった面がある。同一労働同一賃金を、この垣根を乗り越えるきっかけとしたい。

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