1月22日付

01月22日 09:25

 「自由」は中国から伝わった言葉で元々は「勝手気まま」の意味だ。明治になり英語のFreedom(責任を伴う自由)の訳語として広まると履き違えが度々起きた▼『遠野物語』の柳田国男が文章を残している。幼い頃、若い博徒が泥酔し家の前で寝てしまった。皆で起こそうとするが「自由だ」と怒鳴る。板垣退助の自由民権運動への反感がしばらく抜けなかった、と(柳父章『翻訳語成立事情』岩波新書)▼自由と民主主義の国の新大統領にバイデン氏が就任した。勝手気ままな言動で対立と憎悪を増幅させたトランプ前大統領は式典をボイコット。氏があおったとされる議事堂襲撃の余波で首都に厳戒態勢が敷かれる中、異例の船出である▼就任演説では「民主主義が勝利した」と宣言し、「意見の相違が分裂につながってはならない」と団結を呼び掛けた。コロナ対策、気候変動や移民政策などで前政権からの転換を打ち出す方針だが、なおトランプ支持者らの反発は根強い。加えて歴代大統領では最高齢の78歳。険しい道もあろう▼自由に戻れば、ネット社会は人と人とのつながりを格段に自由にした。半面、自分と同じような意見が響き合う空間に閉じこもるケースも増えた。結果として異なる意見との対立は先鋭化。「米国第一主義」という履き違えもその一例だったか▼バイデン氏は子どもの頃、母親に「少しでよいから相手の立場に立って」と諭されたという。コロナ禍の今、共通の難題に立ち向かうとはそういうことかもしれない。

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