1月20日付

01月20日 09:16

 頭が猿、体はタヌキ、手足は虎、尾は蛇…。鵺[ぬえ]という妖怪である。美しい鳥トラツグミは夜、「ヒーッ、ヒーッ」と細く寂しげな声で鳴く。その声が恐ろしかったので、昔の人は妖怪だと思い鵺と名付けたという▼トラツグミからすれば迷惑な話だが、そこから転じて、どちらともつかない怪しげなもの、正体不明の人物や曖昧な態度を指すようになった。鵺のように、どっちつかずで曖昧模糊[もこ]とした人物は、特に永田町方面に多く生息しているようだ▼そう感じたのは、ロシアの司法当局が反体制派ナワリヌイ氏を帰国直後に拘束したことへの加藤勝信官房長官の反応を見たからである。「日本政府として重大な関心を持って注視している」と述べただけで、非難もせず釈放も求めなかった▼欧米各国が「拘束は容認できない」と即時釈放を求めたのとは対照的。ナワリヌイ氏はプーチン政権にとって最大の政敵であり、昨年夏には毒殺未遂に遭った。当局はその捜査もせず拘束、逮捕したのだから十分非難に値すると思うのだが▼ほかにもある。トランプ米大統領の支持者による連邦議会議事堂占拠の際も、菅義偉首相は「極めて残念だ」とは述べたものの、支持者らの行為を非難はしなかった。明確なメッセージを出さなかったと自民党内からも苦言が相次ぐ始末だ▼恐らく、旗幟[きし]を鮮明にしない方が得策と判断したのだろうが、国としてはっきりモノを言わないと「何を考えているのか」と思われかねない。政府の「鵺化」は結構深刻なようである。

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