1月18日付

01月18日 09:20

 季刊誌「宗教問題」編集長でジャーナリストの小川寛大さん(41)は熊本市出身だ。古武道をたしなむなど古風かつユニークな人柄で、日本人がめったに行かない中東や米国南部にも、羽織はかま姿で出かける▼米国の南北戦争(1861~65年)に関心を抱き、多くの戦跡も和装で訪ねた。「好きで勉強したんですよと言ったら大歓迎してくれる」。長年の知見を基に戦史を概説した近著『南北戦争 アメリカを二つに裂いた内戦』(中央公論新社)を読んだ▼当時のアメリカ合衆国34州から南部11州が独立を宣言して戦った南北戦争。改めてたどると知らないことだらけだった。4年の内戦に南北計300万人以上が出征し、60万人近くが戦死・戦病死した。第2次大戦を上回る米国史上最大の犠牲である▼奴隷制度を争点にした民主、共和両党の争いでもあった。ただこの当時、奴隷制存続に固執したのは南部に根を張る民主党。新興の共和党は逆に廃止を訴え、北部に党勢を広げた▼戦乱に先立って就任した共和党初の大統領が、奴隷解放の父といわれるリンカーン。160年前の分断の背景にも差別や偏見があり、格差や熱狂があった。現代では同じ共和党のトランプ大統領の任期が終わる。まるで逆さまの鏡像を見ているような▼「日米同盟は大事と言うが、アメリカについて私たちはどれほどのことを知っているだろう」と小川さん。米国内で戦争といえば南北戦争であり、戦後160年を経て、その記憶は国土の奥深くに息づいている、とも。

記事アクセスランキング

  1. ${ranking.title}

※アクセス数(24時間以内)を元に集計

フォローする

  • facebook
  • twitter
  • LINE
  • youtube
  • note