2月28日付

02月28日 09:32

 肩で風を切ると言えば、肩を怒らせ得意げに歩くこと。真偽は別として、やくざの歩き方に例えられる。東映のやくざ映画が全盛だった頃、見終えた観客の後ろ姿もそんなふうだったらしい▼やくざ路線が影を潜めて久しい。そんな中、主役を張る作品が相次ぎ公開された。『ヤクザと家族 The Family』と『すばらしき世界』。いずれも刑期を終えた主人公が更生に努めるさまを、今の実像に重ねて描く。立ちはだかる法や世間の目。風を切るどころか、下を向くしかない。もがく姿に、つい情が移ってしまう▼反社会的勢力。分かっていながら映画に引き込まれると善悪の境目が分からなくなる。社会からの排除は当然の報いだろうか、と。かつて、やくざ映画が大衆の共感を得たのは、悪ではあるけど正義があり筋を通したから。もっと悪い敵や不条理と闘う姿に喝采が起きた▼官僚たちが主役を張る今の国会劇場は、親分への忠誠が動機らしい点は映画と似ている。一方、決定的に違うのは正義が見えないこと。優秀なはずなのに妙に忘れっぽかったり、道理が通らなかったり。見ている国民は興ざめである▼省庁もある面、結束したファミリー。逆らうと怖い親分だとしても、官僚側に全く下心がないと言い切れるだろうか。国民を向いて仕事をするのが正義である▼映画の主人公は自らを悪とわきまえていた。ほんの一部だろうけれど、善と信頼していた官僚に裏切られる場面が続く。これを機に更生してほしいと国民は願っている。

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