
熊本市民病院(熊本市東区)は21日、感染症病棟の看護師ら医療スタッフ6人と入院患者1人の計7人が、新型コロナウイルスに感染したと発表した。県内35例目となるクラスター(感染者集団)が発生し、21~22日の外来診療と、21~24日のコロナ患者以外の新規の入院や退・転院、救急外来を中止した。25日から再開する予定。
市民病院は県内唯一の第1種感染症指定医療機関。昨年2月21日の県内初のコロナ患者を皮切りに、これまで600人以上を受け入れるなど、コロナ治療の中核を担っている。
市民病院によると、20日昼に50代女性看護師1人の感染を確認。院内の接触者45人を検査したところ、さらに30~50代の女性看護師3人、40代女性看護助手と30代女性臨床工学技士、40代男性入院患者各1人の感染が判明した。7人の症状は軽いという。看護師と看護助手の5人は感染症病棟に勤務し、コロナの入院患者と接触していた。男性は18日から別の一般病棟に入院していた。市は他の医療スタッフや入院患者ら約1200人の検査も進める。
記者会見した高田明院長は「感染防止に最善の努力をしてきたがクラスターが発生し、診療を制限せざるを得ず申し訳ない」と陳謝。大西一史市長は「コロナ対策の基幹病院だけに、医療体制をさらに逼迫[ひっぱく]させかねないとの危機感を持っている。県や他の医療機関と連携し危機を乗り切りたい」と述べた。
市民病院では21日朝から、職員が駐車場や正面玄関で「外来診療の中止」と書いた紙を掲げ、利用者に知らせた。健康診断の申し込みに来た中村優さん(76)=同市北区=は「診療中止と聞いて驚いたが、コロナの影響ならばやむを得ない」と話した。(潮崎知博、山口尚久、鬼束実里)